2008年6月10日(火)「しんぶん赤旗」

イラク 米軍地位協定づくり

「占領永続になる」と批判


 【カイロ=松本眞志】占領永続か米軍撤退か―。米政府が米軍のイラク駐留を継続する地位協定を七月末までにイラク政府と締結し、二〇〇九年一月に発効させる意向を示したことに対し、イラク国民の批判が高まっています。地位協定の問題はイラク政局の焦点に浮上しています。


 イラクの政治評論家アラア・ハダッド氏は本紙の電話取材に、「地位協定は『長期的』でなく『永続的』であり、現在の占領よりもイラクの状況を悪化させる」と指摘。ヨルダン紙アッドストールのイブラヒム氏は、地位協定を「植民地協定」と断言、「米国はイラク国民の怒りに直面し、ベトナムのときのように撤退を余儀なくされるだろう」と述べました。

 中東電子サイト・ミドルイースト・オンラインは四日、「イラク人の78%は、米軍が紛争を阻止するというより紛争を誘発していると考えている」と報じました。

 イスラム教シーア派組織サドル師派やスンニ派などの政治勢力は、「占領を継続化し主権を侵害するものだ」と協定に反対を表明。サドル師派は、この間、抗議行動を呼びかけ、協定問題を国民投票にかけるよう求めています。

 一方、イラク政府は、地位協定が「イラクにとって必要であり、主権侵害にはならない」と説明。米国政府高官も「米軍基地の永続化ではない」と弁明しています。ただ、国民の強い反対世論でイラク政府内からも矛盾が表面化。イラク政府のダバグ報道官は「イラクと米国には見解の相違がある。この溝を埋めて相互理解に達するには時間がかかり、七月末は十分でない」と述べています。

 英紙インディペンデント六日付によると、米政府は、米国の銀行に預けられているイラク政府の石油収入の五百億ドル(約五兆三千億円)のうち、二百億ドル(約二兆一千億円)を差し押さえると脅し、協定締結を強要したといいます。同五日付は、米・イラク間の秘密交渉で、米側が五十の米軍基地を維持し、イラク領空の制空権を引き続き掌握し、さらに米軍兵士や米軍が契約した民間軍事会社職員に治外法権を与えることを要求していると暴露しています。

 国連安保理決議は米軍のイラク駐留を今年末までとしています。



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