2008年6月7日(土)「しんぶん赤旗」

歴史の宿題 解決を

来日被害者が国会要請

中国人強制連行


 戦時中、日本国内の労働力不足を補うため、国策として実行された中国人強制連行・強制労働事件―。被害者約四万人を対象にした全面解決の実現に向け、被害者と遺族らが要請の第一陣として来日しました。今後も訪日する予定です。与野党各党に政治的解決を求め、六日は日本共産党の仁比聡平参院議員を訪ねて要請しました。


 今回、来日したのは被害者の王子安さん(82)と趙宗仁さん(78)、遺族の劉煥新さん(65)、弁護士の傅強さんの四人。

 仁比議員との懇談で王さんは、一言では語り尽くせないほどの体験をしたと語り「私も先はあまり長くない。仲間たちの最後の願いを込めて要請にきた。ぜひ全面解決できるようお願いしたい」とのべました。

 趙さんは「人間とはいえない扱いを受けた。歴史の遺留問題として、また日本政府に課された問題として解決してほしい」と話しました。

 中国人強制連行・強制労働事件全国弁護団の小野寺利孝団長代行は、昨年四月の最高裁判決が裁判上の賠償請求権を否定したものの国と加害企業に被害者救済を求めたことについて「政治的、社会的に解決せよという司法からのメッセージ」だと指摘。一九七二年の日中共同声明で請求権を放棄したから決着済みだとする日本政府を批判し、国会での追及など解決への協力を訴えました。

 仁比議員は「外務省のかたくなな態度を変えるとともに、与野党を超えた合意づくりをしていくことが大事。それを進めていく上で共産党として果たすべき役割はある。がんばっていきたい」と語りました。

 弁護団は今年三月、「人権の回復と日中関係の未来のために」と全面解決の提言を新たに発表しています。

 提言は(1)日本政府と加害企業は事実を認めて謝罪すること(2)その証しとして総額一千億円の基金を設立すること―としています。基金は被害者・遺族への補償金支払いと事件の調査や未来を担う青少年の日中交流などの事業に充てるものです。

 各地の高等裁判所では解決への前向きな動きが出始めています。

 今年四月、福岡高裁が国と企業に和解を打診する所見を出しました。所見は(1)強制連行・強制労働は国策として遂行された(2)企業は労働力の利用により相応の利益を受けた上、戦後国から補償金まで取得(3)被害者らの精神的・肉体的苦痛は言語に絶するほど大きい(4)裁判上の請求権を失ったことについて、被害者らの意向が反映しているとは認められない―と指摘しました。

 弁護団によると、国は和解を拒否しています。



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