2008年6月5日(木)「しんぶん赤旗」

“小規模農家支えよ”

食料サミット NGOが訴え


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(写真)食料主権の確立を訴えるNGOの代表ら=3日、ローマのFAO本部(山田芳進撮影)

 【ローマ=山田芳進】ローマで開かれている「食料安全保障サミット」に参加する非政府組織(NGO)が三日、国連食糧農業機関(FAO)内で会合を開き、世界が直面する現在の食料危機を解決する最善の手段は、食料主権を認めることだと訴えました。

 同サミットの公式行事として催されたNGO会合では、農民組織を中心とする各地のNGO代表がコメンテーターとして発言。現在の世界が直面する食料危機は、既存の政策の失敗が原因だとし、小規模農家の経営を支える「食料主権」を軸に新たな農業政策を構築することを強調しました。

 国際農民組織ビア・カンペシーナのアルベルト・フィオレス氏は、一部の巨大多国籍企業が投機などによってばく大な利益を上げられるような、資本主義の仕組みそのものが問題だと指摘。「自由貿易協定の締結など、食料の自由取引は食料危機の解決にはならない。問題解決の唯一の信頼に足る選択肢は、食料主権の確立だ」と強調しました。

 世界貿易機関(WTO)による各国の農業への干渉を廃し、大多数の小規模・家族経営的農家が存続できるよう、政府が食料主権の原則に立脚することが重要だと述べました。

 米州の先住民権利擁護団体のバスケス氏は、食料危機にはそれを生み出した「責任者」がいると強調。WTO体制や多国籍大企業が「食料への権利」を侵害しているとし、FAOが小規模農家、食料の権利を擁護する枠組みを提供するよう主張しました。

 また西アフリカの農民組織連合のヌディオグ・フォール氏は、長年続く干ばつがこの地域の貧困につながっているとし、「もっとも汚染しないわれわれが温暖化の犠牲者になっている」と指摘。さらにバイオ燃料需要の拡大によって、小規模農家の耕作地が燃料用に収奪されてしまう可能性があるとの危機感を示しました。


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