2008年6月5日(木)「しんぶん赤旗」

主張

食料危機

今こそコメ政策の抜本転換を


 福田康夫首相は三日、ローマで開かれている食料サミットでの演説で、「(日本)国内の農業改革」を進め、食料自給率の向上に「あらゆる努力を払う」と述べました。首相がこう言うのなら、世界的な食料危機のなか、世界中から食料を買い集め、食料自給率を先進国中最低の39%にまで落とした自民党農政の破たんを認めるべきです。食料危機問題で日本が積極的な貢献をするためにも、農政、とりわけコメ政策の抜本転換が迫られています。

MA米輸入中止すべきだ

 その第一は、日本にとって不要な年間七十七万トンものミニマムアクセス(MA)米の輸入を中止することです。福田首相は、国際市場でのコメ価格の高騰を抑えるため、日本が輸入した備蓄米から三十万トン以上を「放出する用意がある」と述べました。コメ不足の国々に支援することは当然です。MA米の在庫は百二十万トンにも積み上がっており、食料危機の直撃を受けている国々への緊急援助に活用すべきです。

 同時に、首相の言明はMA米輸入の問題も浮き彫りにしています。日本共産党は長年にわたって、MA米の輸入は世界貿易機関(WTO)農業協定上も「輸入機会」の提供にすぎず、義務でない輸入を中止すべきだと主張してきました。政府は輸入を「義務だ」と言い張ってきましたが、コメ価格の高騰で予定した輸入をあきらめざるを得なくなっており、その主張は破たんしています。

 政府は五月、コメが不足しているフィリピンにMA米を売却する方針を固めましたが、それに先立って、米国政府にわざわざこの方針への許可を得ています。この動きは、MA米の輸入が実は米国に押し付けられたことを裏付けたもので、米国への卑屈な従属ぶりを示しています。

 日本国内では減反の強制をやめ、農家に生産コストを保障する不足払い制度の確立と備蓄制度の充実など、コメの需給と価格の安定対策を実施すべきです。小規模農家を支援対象から排除する政策もただちに中止することが求められます。

 町村信孝官房長官は五月末、「減反政策を見直していく必要」を表明しました。政府は米価下落を抑えるためとして、農家に減反を押し付けてきました。それがいま、減反政策の失敗と増産の必要を認めざるを得なくなっています。しかし、米価を保障する政策を示さないまま減反廃止をいうだけでは、米価下落を懸念する農家にいっそう混乱をもたらすだけで、無責任のそしりをまぬがれません。強制減反をやめるとともに、価格保障を行うことが重要です。

 国際的な穀物価格の上昇は国民生活にも影響しています。一部のムギ製品では、輸入品が国産品より高くなる事態が生まれています。輸入への依存が大きいムギ、大豆、飼料穀物などを、価格保障などの施策で本格的に増産しなければなりません。

農業再生プラン実施ぜひ

 日本共産党は三月、「食料自給率の向上を真剣にめざし、安心して農業にはげめる農政への転換を」と題する農業再生プランを発表し、コメ政策を中心に日本農業の再生方向を提起しました。その実施に踏み出すことが、日本の食料主権を確立する上でも世界の食料危機の解決に貢献する上でも重要です。

 福田首相の発言を食料サミット向けにとどめさせることなく、日本農業の本格的再生をめざして、農業・食料政策の抜本転換に結び付けさせるよう、国民的な声を結集しようではありませんか。



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