2008年6月3日(火)「しんぶん赤旗」

水俣病・大気汚染被害者ら

なぜ こんな苦しみ

環境相に救済訴え


 「患者を救ってください」。全国公害被害者総行動デーの二日、ノーモア・ミナマタ国賠訴訟原告の未認定水俣病患者、未認定のぜんそく患者らが東京・霞が関の環境省を訪れ、鴨下一郎環境相を前に長年の苦しみと被害救済を訴えました。


 「私たち家族の人生を変えた責任を取ってほしい」。声をつまらせて訴えたのは、鹿児島県出水市の吉野キクエさん(77)。二十一歳で愛蔵さんと結婚。しかし、流産と異常妊娠で子どもを亡くし、一九七六年に水俣病の夫も亡くなりました。

 「なんでこんなことになってしまったんだろうと涙がとまりません」「(加害企業の)チッソが排水を流さなければ私の子どもも夫も亡くなることはなく、私も健康に過ごせた」とキクエさん。

 ノーモア・ミナマタ国賠訴訟弁護団長の園田昭人弁護士は「鴨下環境相のすすめる解決案では国、熊本県の責任が不明確で、補償内容も不十分です。最高裁判決をふまえたものとはいえない」と批判。「真剣な検討と決断を求めます」と訴えました。

 「親子二代でぜんそくに苦しんできた」という大阪市西淀川区の池永末子さん(64)は「環境大臣に、未救済の患者の苦しみをどうしても知ってほしい」といいます。

 「発作、入院、治療の繰り返し。一回の診察と薬代で数千円前後、点滴や注射のときはもっと金額が高くなります。未認定の患者は全部自分が払う。病気が重くなると治療費が上がる。そうすると病院に行けません」

 池永さんは「なぜ東京で(医療費助成が)できて、ほかではできないのか。八月から東京都で実施される医療費助成制度を大阪や全国でも」と求めました。

 全国公害患者の会連合会の松光子代表委員は「後期高齢者医療制度の実施で高齢公害患者の生活がきびしい」と訴え、新しい被害者救済制度や大気汚染物質であるPM2・5(微小粒子)の環境基準の設定を強く要請しました。

 イタイイタイ病対策協議会・同弁護団長の近藤忠孝弁護士(元日本共産党参院議員)は中国などからの国境を越える公害への対策も求めました。

 鴨下環境相は「しっかり受けとめさせていただきたい。(公害被害者の声に)耳を傾けていきたい」と答えました。



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