2008年6月1日(日)「しんぶん赤旗」

輸入米はどこの管理下?

米国の“圧力”表面化

使途めぐり日本に文書


 日本政府が「義務」だと称して輸入し備蓄している外国産米(ミニマムアクセス=MA米)の使途をめぐり米国の“圧力”が表面化し、ミニマムアクセス米の怪しげな構造が浮き彫りになってきました。(今田真人)


 発端は、フィリピンでのコメ不足です。日本政府は、フィリピン政府の要請にこたえ、ミニマムアクセス米の輸出を検討しています。この経過に米国の影が色濃くありました。農林水産省によると、米通商代表部(USTR)の報道官が五月十五日、声明を出したといいます。

 内容は「ミニマムアクセス米について日本国内で消費されるべきである、というのが米国の見解であったが、今年のコメ市場の特殊状況の下では、コメの国際市場を沈静化させるための特別な措置を検討することも正当化される」(五月十九日の白須敏朗事務次官の会見)というものです。“本来は日本国内で消費すべきだが、今回は海外援助に回してよろしい”という内政干渉的なものです。

 この声明を踏まえて、日本政府は五月二十三日、ワシントンで、米国政府と実務者レベルの協議をしました。

 声明について、農水省は「米国政府から日本政府に送られてきた政府間の内部文書のようなもので、原文は公表できない」(同省報道室)と説明。在日米国大使館も「この文書について、あちこち調べましたが、公表できるものはありません」(同大使館報道室)といいます。

 ミニマムアクセス米の輸入は、WTO(世界貿易機関)協定のミニマムアクセス(最低輸入機会)とよばれる規定に基づくもの。輸入機会を提供するということであり、輸入義務ではありません。それなのに政府は「義務」であるかのように扱い、枠いっぱい(コメの国内消費量の7・2%)輸入。輸入量は毎年七十七万トンで、今年三月末現在の在庫は約百三十万トンになります。

 ミニマムアクセス米の使途は、農水省も認めるように「アメリカの了解を得るような性格のものではない」(五月二十二日の事務次官の会見)はずです。それなのに、国際機関でもない米国政府が使途に口出ししたのは、ミニマムアクセス米が米国政府の管理下になっているという疑念を抱かせるものです。

 外国産米の輸入先の割合をみると、米国は52・6%です(〇六年、金額ベース)。他の主要な輸入先には中国やタイなどの国もあります。輸入先は米国だけではないのですから、なおさらです。

 日本共産党は先に発表した「農業再生プラン」(本紙三月八日付)で、ミニマムアクセス米の輸入は本来、義務的でないことを明確にして「義務的輸入の中止」を求めています。



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