2008年5月31日(土)「しんぶん赤旗」

原始共産制とは?


 〈問い〉 私は原始共産制の存在に疑問をもっています。獣にちかい人類の祖先が、はたして共存共栄の思想をもてたかということです。原始共産制の存在の証拠となるものがあるのでしょうか。(東京・一読者)

 〈答え〉 数百万年に及ぶ人類の歴史のなかで、支配する者と支配されるものの区別ができたのは、最近のほんの数千年の間のことにすぎません。それ以前に存在していた階級のない社会を、史的唯物論の立場から原始共産制の社会と呼んでいます。

 この段階では、社会全体の生産力が低く、みんなが力をあわせて働かなければ生きていけなかったために、「共存共栄」の関係にならざるをえませんでした。原始共産制の社会は、「共存共栄」の思想によってではなく、人々が生活していくうえでの客観的な条件によって生み出されたものです。

 日本でも、縄文時代の墓はどれも同じような大きさで、特別な副葬品などをもった墓はありませんでした。したがって貧富の格差がなく、他人の労働の成果を独り占めするような支配者は存在しなかったと考えられています。このことは、高校の歴史教科書にも紹介されています。それが、弥生時代には貧富の格差が生まれ、やがて古墳時代には多数の人々の過酷な労働で大きな墓を造るような支配者が生まれるようになりました。こうして、日本でも支配者と被支配者からなる階級社会(奴隷制や封建制)が生み出されたのです。

 エンゲルスは、『家族・私有財産・国家の起源』のなかで、ヨーロッパ人の侵入以前のアメリカ先住民(いわゆるインディアン)の社会の姿を、当時の民族学の研究に基づいて紹介しています。それによれば、一つひとつの部族が、「氏族」と呼ばれる血縁集団を単位として生活していました。そして氏族の構成員は互いに平等で、他人の支配を受けず、男女すべてが参加する選挙によって指導者(酋長=しゅうちょう=)を選んでいました。

 このような氏族を単位とする平等な共同社会は、世界の多くの地域で最も古い段階に存在していた証拠が発見されています。(石)

 〔2008・5・31(土)〕


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