2008年5月29日(木)「しんぶん赤旗」

自民議員の社会保障番組攻撃

民医連など抗議文

国民の受診困難事例は事実


 全日本民主医療機関連合会(鈴木篤会長)と岡山県民主医療機関連合会(滝野教明事務局長)、医療法人同仁会耳原総合病院(松本久院長)はこのほど、日本の社会保障制度のほころびを検証したNHK番組を国会で攻撃した自民党の礒崎陽輔参院議員に対し、発言の撤回および謝罪を要求する抗議文を送りました。

 全日本民医連は、礒崎氏の発言からは国民健康保険料があまりにも高額で滞納率が高くなっている問題や、行政による保険証の取り上げなど医療現場で起きている実態を「認識されていないと感じた」と指摘。「国民が苦しんでいる高い国民健康保険料滞納や受診困難の事例をジャーナリズムに知らせることが政治的と批判されるならば、そのことがすでに政治的弾圧と言わざるを得」ないとし、発言の撤回と全日本民医連と当該の二つの病院に対して謝罪することを求めました。

 岡山民医連は、医療従事者が「減免制度」や生活保護の取得努力をせず患者を死亡させることにつながったかのような礒崎氏の発言に対し、「全国の医療従事者の誠実な努力に対する冒涜(ぼうとく)です。断じて許すことはできない」としています。

 耳原総合病院も、「特定医療法人による運営が行われており、どの政党とも組織的なつながりは一切ない」「要求の一致に基づいて、どの政党や団体とも共同をすすめていくことを方針としている」としたうえで、「無責任な『推測』と『偏見』による発言」として、事実誤認に基づく発言の撤回と、同病院に対する謝罪を求めています。


「偏り」と決めつけ

 礒崎氏が二十日の参院総務委員会で、やり玉に挙げた番組は、十一日放送のNHKスペシャル「セーフティーネット・クライシス 日本の社会保障が危ない」です。

 仕事を失い、国民健康保険料が払えず保険証を取り上げられた結果、医療が受けられずになくなった男性や介護保険制度の改悪で必要な介護が受けられなくなった女性の姿を映し、社会保障制度について迫った番組でした。

 ところが、礒崎氏は「保険料の減免制度もあれば、医療扶助もある。制度上では医療を受けられないことはない。保険証の取り上げと死亡の因果関係を検証したのか。きわめていいかげん」と攻撃しました。

 また、番組の冒頭にでてきた大阪府堺市の耳原総合病院、岡山県倉敷市の水島協同病院の二つの病院について、「民医連に加盟し、日本共産党と深い関係にあると認識されている」とのべ、「政治的公平性に疑念を抱かざるをえない」「偏った取材、偏った内容を放送している」と決めつけました。



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