2008年5月28日(水)「しんぶん赤旗」
アフリカ開発会議 きょうから
サミット・資源・常任理入り
日本の思惑
アフリカ地域の包括的な支援策を話し合う第四回アフリカ開発会議(TICADIV=日本主催)が二十八日、横浜市で開幕します。最終日の三十日には、(1)経済成長の加速化(2)国連ミレニアム開発目標(MDG)の達成(3)平和の定着と民主化(4)環境問題への対処―を柱とした「横浜宣言」を採択する予定です。
日本政府は、アフリカから過去最多の四十五カ国の首脳らが出席する同会議を、七月の北海道・洞爺湖サミット(主要国首脳会議)の成否を左右する会議として位置付け、福田康夫首相は二十七日から全首脳との個別会談に臨んでいます。
過去数年間のサミットで「アフリカ」が主要議題になっていることに加え、地球温暖化問題で日本が打ち出す「セクター別」方式への支持を取り付ける狙いがあります。温室効果ガス排出の削減目標を各産業分野(セクター)の自主目標に委ねる同方式には、二十六日に閉幕した主要八カ国(G8)環境相会合でも批判が相次ぎました。
TICADは一九九三年に第一回会合が開かれました。「冷戦終結による力関係の変化と、欧州諸国の援助疲れが見られるなか、日本がアフリカへの『援助外交』で存在感を示す」(外務省幹部)ことがもともとの狙いでした。
長い植民地支配による負の遺産を抱えるアフリカ諸国は、今なお貧困や紛争、食糧難、感染症などの深刻な問題を抱えています。同時に、〇四年に「アフリカ連合」(AU)が創設されるなど、国際政治におけるアフリカ諸国の存在感は大きく高まっています。希少金属(レアメタル)など天然資源の宝庫としても注目が高まっています。
単なる援助の対象ではなく、国益重視の観点からアフリカ諸国との関係強化を進める動きが国際社会で強まっています。
中国は〇六年、「中国・アフリカ協力フォーラム」を開催してアフリカ四十八カ国の首脳を集め、インドも今年四月に「インド・アフリカ会議」を発足させました。米国はアフリカ覇権を狙って〇七年に「米アフリカ軍」を創設しましたが、強い反発を受け、アフリカ大陸への司令部設置を断念しました。
日本政府も、資源獲得競争や国連安保理常任理事国入りでアフリカ諸国の支持を獲得することなど、外交的・経済的基盤の強化の一環として今回のTICADを位置付けています。
さらに、議題の一つである「平和の定着」に関連して、スーダンでのPKO(国連平和維持活動)に自衛隊部隊を派兵するための地ならしも狙っています。
■アフリカ開発会議関連の動き
1993年 第1回会議(5) 「東京宣言」を採択
1998年 第2回会議(15) 「東京行動計画」を採択
2003年 第3回会議(23) 「TICAD10周年宣言」を採択
2008年 第4回会議(45) 「横浜宣言」採択へ
※( )はアフリカ諸国の首脳・元首の出席数

