2008年5月23日(金)「しんぶん赤旗」
グアンタナモ収容所
米下院外交委で公聴会
元収容者、拷問の数々を証言
米軍のグアンタナモ基地(キューバ)にある収容所の問題点を調査する米下院外交委員会小委員会の公聴会が二十日開かれ、元収容者が拘束中の拷問などについて生々しい証言をしました。同収容所では「テロ容疑者」が法的根拠のないまま長期間拘束されていることが問題になっています。(ワシントン=西村央)
外交委員会「国際機関・人権・監視」小委員会の公聴会で証言したのは、元収容者で、現在ベルリンに住んでいるトルコ人のムルト・クルナージ氏(26)。ドイツからのビデオ証言でした。
同氏は二〇〇一年の9・11同時テロ直後、パキスタン旅行中に突然同国警察に理由もなく拘束され、米軍に引き渡されました。米軍がアフガニスタンに侵攻したころでした。
クルナージ氏はその後、アフガニスタン南部のカンダハルにある囚人キャンプとグアンタナモ収容所で計五年間、何の法的手続きもないまま拘束され続け、さまざまな拷問をうけました。
「尋問中に、頭を水に突っ込まれ、でき死実験のようだった」「ある時は空中につるされ、医師が時々様子を見に来た」
カンダハルでの拷問をこう語ったクルナージ氏は「グアンタナモに移されてからは、扱いはもっとひどくなり、人間扱いされなくなった」といいます。宗教的、性的辱めを受け、睡眠や食物を長期間にわたって奪われたとも証言。「私はドイツで育ったが、第二次大戦後、法の支配確立でドイツをリードした米国で、こんなことが行われるとは自分が体験するまで想像だにしなかった」と語りました。
この日の公聴会では、クルナージ氏のビデオ証言とともに、弁護士や法学者がそれぞれの立場から証言しました。
弁護士のクリーブ・スミス氏は「収容者の依頼を受け、ヨーロッパや北アフリカ、中東に出向いてその家族に会うと、決まって同じ質問を受ける。それは、なぜ米国は法的手続きもなしに何年も拘束を続けるのかということだ。これは怒りと悲しみを生み、アメリカ自身が新しい不平等を生み出していることになる」と訴えました。
公聴会には外交委員会のメンバーだけではなく、司法委員会のナドラー議員も駆けつけ、「こうした収容所は存在してはならない。法的にみても数々の間違いを犯している」と発言しました。

