2008年5月23日(金)「しんぶん赤旗」

後期高齢者医療制度

公明新聞 必死に弁明するが…

どこが「安心」ですか


 公明新聞が後期高齢者医療制度について特集(二十日付)し、「七十五歳以上の高齢者を“みんなで支え合う”医療制度」と大宣伝しています。高まる国民の批判を意識して反論を試みたようですが、その内容は、ごまかしばかりです。


「収入ゼロ」でも保険料取り立て

 公明新聞は「共産党は、『“収入ゼロ”でもムリヤリ保険料徴収』などと言っていますが、『収入ゼロの人から保険料は取りません』」と強調しています。これは、まったく事実と異なります。後期高齢者医療制度は、「収入ゼロ」の人からも保険料を取り立てる過酷な仕組みです。

 同制度の保険料は、所得に応じて負担する「所得割」と、全員が一律に負担する「均等割」を合計して決まります。

 たとえば、夫の年金が年二百一万円、妻が無年金という夫婦世帯(埼玉県在住)の場合。妻は収入ゼロなので「所得割」はかかりません。しかし、「均等割」は夫(世帯主)と同じ金額になるため、妻の保険料は年間三万四千二十円になります。本人に収入がなくても、保険料負担を強いられる仕組みはごまかしようがありません。厚生労働省も「そういう仕組みだ」と説明しています。

 公明新聞の「保険料は取りません」という主張は、なんの根拠もありません。

年金天引きで怒り逆なで

 高齢者の不安と怒りが集まっている保険料の年金天引きについては、「金融機関などの窓口でお支払いいただく手間をおかけしないためです」という政府の言い分をオウム返しするだけ。「少ない年金から強制的に保険料を引かれてしまったら、生活できるか不安」というお年寄りの気持ちを逆なでしています。

保険証取り上げ仕組みつくる

 公明新聞は「保険料を支払えない方から保険証を取り上げたりしません」と述べています。これも事実と違います。

 これまで、七十五歳以上の高齢者からの保険証の取り上げは禁止されていました。しかし後期高齢者医療制度では、それが可能になりました。一年以上保険料を払えず「悪質滞納者」とみなされると、保険証を取り上げられる仕組みはできてしまいました。

 実際、国民健康保険では、経済的な理由で保険料を払えない人からも保険証を取り上げる事例が続出。保険証がないため病院にかかれず、亡くなる人も相次いでいます。新しい制度は、こうした悲惨な事態を七十五歳以上の高齢者にまで広げる危険があります。

健診の対象から97%除外の県も

 「七十五歳以上の健康診断 すべての都道府県で実施されます」という公明新聞の主張も、ごまかしです。

 これまでの住民基本健診は、四十歳以上なら誰でも受けられました。しかし四月からの特定健診では、七十五歳以上の健診を都道府県の広域連合の「努力義務」に格下げしました。健診は行政の義務ではなくなります。

 厚労省は、七十五歳以上で高血圧など生活習慣病の患者は、健診の対象外にするよう指示しています。この結果、徳島県では、七十五歳以上の97%が健診から除外されました。七十五歳という年齢を境にした、明らかな差別です。

 公明新聞は「一部に高齢者の不安をあおる悪質な宣伝をしている政党があります」と述べています。しかし、事実と異なる宣伝をして、世界でも例をみない高齢者差別制度を「安心の医療」とごまかすやり方こそ、悪質ではないでしょうか。(幸)



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