2008年5月20日(火)「しんぶん赤旗」

全国テスト偏重の害

関心促進する教育が困難

英下院報告


 【ロンドン=岡崎衆史】英下院の子ども・学校・家族委員会(バリー・シアマン委員長)は十三日、報告書を出し、テスト偏重の英イングランドの学校教育制度を批判しました。

 報告は、「全国テスト偏重」を批判し、「教師が(学校教育で)焦点を当てる範囲を狭めることにつながってきた」と指摘しました。その例として、(1)テストでいい点数を得るための教育の実施(2)テスト科目以外がおろそかになることによるカリキュラムの狭小化(3)獲得目標点数の周辺に位置する子どもへの重点教育―などを挙げ、テストの成績を上げるために本来の教育にゆがみが生じていると警告しました。

 教師が創造的な教育を行うことや、興味、関心を促進する方法で教えることも困難になっているといいます。

 報告はさらに、テストの成績上昇が、教育の本来の目的である基本的な学習の進展や理解の深まりにつながっていない可能性を指摘。また、「テストのための教育やテスト結果に不適切に焦点を当てることが、若者の高等教育と就職への準備を妨げている恐れがある」とも述べています。

 報告は、その上で、学校や子どもたちの成績が全国テストで測られる現在の教育体制を改めるよう勧告しました。

 シアマン委員長(労働党下院議員)は、「テストが過剰に重視され、一部のカリキュラムや生徒にとってはそれが害となってきた。委員会は、教師がテスト結果や学校順位表に向ける関心を減らし、個々の子どもの学習をより重視するよう期待する」と述べました。


 イングランドの「全国テスト」 イングランドの七歳、十一歳、十四歳の子どもが受けることを法的に義務付けている学力テスト。七歳児は、国語(英語)と算数、十一歳と十四歳には、これに科学が加わります。テスト結果に基づいて、学校別の順位表が公表され、政府のホームページで閲覧することができます。

 これにより、競争が激化し、子ども、教師のストレスが高まるとともに、学校間格差が広がりました。


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