2008年5月15日(木)「しんぶん赤旗」

安保戦略会議が中断

日米軍需利権追及の影響


 日本の国防族議員と日米軍事産業界との共催による日米安全保障戦略会議が五月上旬にアメリカで開かれず、二〇〇三年以来続いた会合は、事実上、中断したことが十四日までにわかりました。

 同戦略会議の日本側主催団体は自民、公明、民主などの国防族でつくる安全保障議員協議会と日米平和・文化交流協会。昨年十一月の第十回会合まで年二回、春と秋に日米で相互開催してきました。

 今年も五月初めに安保議員協の久間章生元防衛相、西銘恒三郎衆院議員(一部日程に参加)らと秋山直紀事務局長が訪米し、米国土安全保障省高官やコーエン元米国防長官と安全保障対話を重ねました。しかし今回は日米安保戦略会議は開かれませんでした。

 この背景には、昨年秋に、一体として運営されている安保議員協と同交流協会にまつわる防衛利権疑惑が表面化した事情が影響したと指摘されています。

 この間、ワシントンでの同戦略会議に参加した国会議員の派遣経費の一部に、国際交流基金(外務省の外郭団体)からの補助金が流用されていた疑惑や、国防族と三菱グループなど軍需産業の癒着などが明らかにされました。日本共産党の大門実紀史参院議員らが追及したものです。

 同交流協会については昨年十一月、守屋武昌前防衛事務次官(逮捕、公判中)と軍事商社・山田洋行との贈収賄事件に関連して東京地検特捜部が強制捜査に入る事態に発展。同交流協会の常勤理事を兼ねる秋山氏が今年一月、参院に参考人招致されました。同氏については最近の一部報道で所得税法違反(脱税)容疑が指摘されています。

 このため安保議員協から前原誠司・民主党副代表ら有力メンバーが脱会したほか、三菱重工業はじめとする三菱グループなど有力な資金源となっていた会員企業が同交流協会から退会していました。米側が疑惑を持たれている日本側との交流を嫌ったとの指摘もあり、同戦略会議は内外の疑惑追及と批判を浴びて開催不能に追い詰められたのが真相といえそうです。

 秋山氏は今回の訪米から帰国した十一日に成田空港で記者団にたいし「(安保戦略問題を)日米を機軸に考えるのは普通のことだ。僕らに反対しているのは、左の人ばかり。『赤旗』とか社会新報とか」と疑惑をそらす的外れの発言をしています。



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