2008年5月14日(水)「しんぶん赤旗」
第二党、閣僚9人辞表
裁判官の復職めぐり対立
パキスタン
【ニューデリー=豊田栄光】パキスタンの与党第二党、パキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派(PML―N)の閣僚九人は十三日、ギラニ首相に辞表を提出しました。ムシャラフ大統領が昨年十一月に宣言した非常事態下で解任されたチョードリー最高裁長官ら裁判官六十人の復職をめぐり、与党第一党のパキスタン人民党(PPP)との意見調整が失敗したためです。PML―Nは十二日、閣外支持に転じると発表していました。
PML―Nのシャリフ元首相は無条件の復職を主張。PPPのザルダリ共同総裁は「最高裁長官の任期は三年」とすることを求めました。三年任期となれば、チョードリー前長官は復職してもすぐに退任となります。
ザルダリ氏は暗殺されたブット元首相の夫で、ともに汚職裁判を逃れるために海外に亡命していました。ムシャラフ大統領は昨年十月、訴追を免除する「国民和解令」を布告し、ブット夫妻は帰国を果たしました。
チョードリー氏が復職すれば「国民和解令」を違憲と断じる可能性があります。ザルダリ氏は再訴追を恐れ、一方のシャリフ氏は「国民和解令」の破棄でPPPを弱体化させ、政府の実権を握ることをもくろんでいる、との見方が支配的です。

