2008年5月13日(火)「しんぶん赤旗」

水の押し付けやめよ

大山崎町 府を相手に提訴へ

京都


 京都府大山崎町の真鍋宗平町長は十二日、過剰に買わされ続けている府営水受水量の削減、町水道事業会計の健全化をめざし、昨年度から町の条例に基づいた減量申請を認めず協議もせずに従来通りの水量を押しつけてきた府を提訴する方針を明らかにしました。

 真鍋町長は、町議会の議員全員協議会で、二〇〇七、〇八両年度の府の基本水量決定の取り消しを求め、京都府を相手取り、五月中に提訴すると報告。「水道事業会計の緊迫した状況は、赤字体質から抜け出せない構造的なものから来ています。必要以上の府営水を買わされ、町民の負担は増え続けてきました。町の実情を府に述べても改善できないため、やむを得ず司法の判断を求めざるを得ない状況に至った」と語りました。


解説

住民負担の軽減めざす

 町が府を裁判に訴えるという異例な事態になったのは、町が府営水の給水量の減量を申請し「府営水道条例」に基づく協議に応じるよう求めてきたのを門前払いするなど、府の不誠実で強引なやり方が原因です。

 豊富な地下水に恵まれている乙訓地域の二市一町に二〇〇〇年十月、住民の反対を振り切って府営水道が導入され、地下水とブレンドされたのち住民に給水されています。過大な水需要予測に基づき府が建設したダム建設費の償還を名目にしているため単価が高いのに、府は市町に過剰な給水量を基本水量として押しつけた「協定」を、「府営水道条例」とは別に結びました。大山崎町の基本水量は、二市一町のなかでも同町だけ必要量の倍以上の日量七千三百トンです。

 町の水道事業会計は、府営水導入前は黒字だったのに現在は毎年七千万円を超える赤字を重ね、〇八年三月には累積で六億五千万円になり、住民の水道料金も府内で最も高くなっています。

 水道問題の解決を公約に掲げ当選し〇六年十二月に就任した真鍋宗平町長は翌〇七年二月、町の財政再建と水道事業会計の健全化にむけ、日量三千四百七トンへ府営水の減量を、町として初めて条例に基づいて申請。府は、申請を受理せず協議にも応じないまま、同十二月末には前年度と同量の七千三百トンを決定し通知しました。町は決定に対して異議を申し立て取り消しを求めるとともに、延滞金の発生を防ぐためにいったん七千三百トンを支払いました。

 町は〇八年度分についても、今年二月に三千四百七トンを申請しましたが府は四月二十四日、再び前年度と同量の七千三百トンを基本水量として決定。真鍋町長は、住民の利益を最優先にする自治体として、これ以上の住民への負担や水道事業会計の赤字は放置できないと決断したものです。

 全国でも、群馬県は水量の見直しを行い、愛知県も減量の要望への対応や料金制度について検討すると表明しています。

 「知事は、前項(給水量)の申し込みを受けたときは、当該市町と協議の上、年間における一日当たりの最大の給水量を決定し、通知する」(京都府営水道の供給料金等に関する条例・第二条の二)という手続きを怠ってきた府の責任は重大だと言わざるを得ません。(京都府・加藤貴顕)


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