2008年5月12日(月)「しんぶん赤旗」

ハンセン病

強制隔離の根に戦争

市民学会集会 “次世代に伝える”


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(写真)ハンセン病市民学会の交流集会分科会「戦争とハンセン病」=11日、東京・東村山市の多磨全生園

 国の誤った隔離政策で重大な人権侵害、とりかえしのつかない被害を広げたハンセン病問題に向き合おうと、ハンセン病市民学会は十一日、東京・東村山市の多磨全生園で集会を開き、分科会や青年・学生、宗教者の集会、フィールドワークなど多彩な催しで、元患者、市民が交流しました。

 分科会「戦争とハンセン病」で報告した弁護士の国宗直子さんは、「ハンセン病患者が受けた人権侵害は、『お国のために』と強制隔離された戦争被害としての側面を見逃すことができない」と強調しました。

 日中戦争が本格化する一九三一年に、当時の国家主義思想にもとづき改悪された「癩(らい)予防法」で、「民族浄化」「無癩日本」の名のもとに、すべての患者を根こそぎ強制収容・隔離し、断種、堕胎など、患者絶滅政策がとられたからです。

 会場からは、朝鮮の植民地支配下の患者の強制隔離の実態、旧満州での患者虐殺の問題などが出され、被害の深い傷跡が明らかにされました。

 沖縄愛楽園の戦争被害の記録をしているハンセン病問題ネットワーク沖縄の吉川由紀さんは「毎年二、三千人の中高生が平和・人権学習で訪れるが、しだいに当時のことを話せる人が少なくなっている。次の世代にどう事実を伝えていくかが大きな課題になっている」とのべました。


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