2008年5月10日(土)「しんぶん赤旗」

「人間回復の橋」開通20年

ハンセン病療養所入所者集う

岡 山


写真

(写真)架橋20年を記念して、空に風船を放つ入所者、職員たち=9日、岡山県瀬戸市内の長島

 ハンセン病国立療養所邑久光明園と長島愛生園のある岡山県瀬戸内市の長島と、本土(旧邑久町)を結ぶ邑久長島大橋が九日、開通から二十年をむかえました。

 隔離の島からの解放をめざす入所者たちの運動で架橋が実現し、「人間回復の橋」と呼ばれる大橋のたもとで同日記念式が開かれ、入所者や職員、地域、ボランティアの人々らが集いました。

 邑久光明園入所者自治会の屋猛司会長は「人間性回復の橋から二十年、私たち入所者の平均年齢は八十歳を超えていますが、前を向いて両園全体で社会復帰し、開かれた療養所として、地域の方々に利用していただくよう、ハンセン病基本法が今国会で成立することを祈念します」とのべました。

 「架橋は大きな変革だった」と、振り返るのは愛生園入所者の金泰九(きん・てぐ)さん(81)。「橋ができて、『島流し』にされているという感じが無くなった」といいます。

 同園入所者自治会副会長の中尾伸治さん(74)は、「六年前にできた愛生園歴史館にも、毎年一万人が訪ねてくださる。地域の方と手をつないで、一緒に暮らせる島にしていきたい」と語りました。

 両園入所者自治会が長島架橋促進委員会を結成したのは一九七一年。「『人間回復の橋』を速やかに実現せよ」と政府に迫り、実現するまでには十七年の歳月を要しました。


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