2008年5月8日(木)「しんぶん赤旗」

印・イラン関係が前進

パイプライン 地域平和を結ぶ

米の敵視政策を排除


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(写真)ニューデリーの空港に到着、インドのアハメド 閣外外相(左)の出迎えを受け、報道陣に手を振るアハマディネジャド大統領絞4月29日

 イランのアハマディネジャド大統領が四月末、パキスタンとインドを訪問し、三カ国を結ぶ天然ガスパイプライン(IPI)建設が数週間以内に正式調印される見通しとなりました。

 イラン産天然ガスを印パ両国に供給するIPI計画には、イランを「テロ支援国家」として敵視する米ブッシュ政権が強く反対。一方インドは米国との間で民生用核協力を推進していたため、インドの対イラン関係が一時、悪化しました。

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 二〇〇五年九月、国際原子力機関(IAEA)は核開発問題でイラン非難決議を採択し、〇六年二月にはこの問題の国連安保理への付託を決定しました。この動きはイランを屈服させようとする米政権の意向に通じる部分もありましたが、インドは両方の決議に賛成しました。

 今回訪印したアハマディネジャド大統領は四月三十日の記者会見で、インドのIAEAでの行動について「それは過去のこと。両国関係は前進し、改善している」と答えました。

 これまでインドはイランの核兵器保有にも、米国によるイラン敵視政策にも反対する立場をとってきました。

 シン首相は〇六年二月の国会で、「イランには核不拡散条約(NPT)加盟国として核の平和利用の権利がある」と認めながらも、「近隣国での核拡散はインドの安全保障上の懸念となる」と言明。その一方、〇六年三月の国会では「(米国が進めるイラン封じ込めや政権打倒について)そのような国際的努力の一員にはならない。緊張を高めるだけの対決や強制手段は好ましくない」と明確に述べています。

 今回のアハマディネジャド大統領の訪印にあたっても、直前に米国から、米国の意向に沿った圧力をイランにかけるよう要請があったとされています。それについてインド政府は「二国間関係について他国からの指導は必要ない」(サルナ外務報道官、四月二十二日)と表明しています。

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 インドとパキスタンは領土問題で過去三度も戦争をしました。それだけにIPIは「平和のパイプライン」と呼ばれています。シン首相自身も「IPIは平和と地域協力促進のメッセージ」と語っています。総工費約七十五億ドル、総延長二千六百キロを超える巨大事業です。

 地元紙は「パイプラインで平和に―地域発展のために地域資源を利用する」(英字紙ステーツマン三日付)との識者コラムを掲載しました。IPIにかけるインド国民の期待が表れています。(ニューデリー=豊田栄光)


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