2008年5月6日(火)「しんぶん赤旗」

後期高齢者医療制度

国民も 地方も 新聞も

制度の根幹を批判

与党支持でも


 「長生きするなというのか」。後期高齢者医療制度への国民の怒りは日増しに広がり、福田康夫内閣と自民、公明の与党を揺さぶっています。

 高齢者・国民の不安と怒りは支持政党の違いを超えて拡大しています。

 どの世論調査でも、「見直し」を求める声が七割以上です。「毎日」三日付の世論調査は、「制度を評価しない」が77%と圧倒的多数。自民党支持者の64%、公明党支持者の70%も「評価しない」と答えるなど与党の足元から批判が突きつけられています。

 制度の中止・廃止を求める署名は各地で大きな反響を呼んでいます。署名数は三百万人を突破、さらに広がっています。

 制度の見直し・廃止などをもとめる意見書を可決した地方自治体議会は五百七十を超えました。

審議会の場で

 首相直属の「社会保障国民会議」分科会(四月三十日)では、新制度への不満が相次ぎました。

 愛媛県後期高齢者医療広域連合長の中村時広・松山市長は「現場では毎日声を聞いている。自分がつくったわけでないのに、なんでここまで文句を浴びるのか」と述べ、保険料が下がるという国の宣伝が、地方の実態と違うことを批判。八十六歳の塩川正十郎・元財務相は「私は孫から『じいちゃんは家族じゃないんやろ』といわれた。扶養家族を外すような、家族を破壊することはしちゃいかん。財政中心に考えるとこういうことになるんだ」。首相肝いりの審議会で、異論が公然と噴出するのは異例です。

「見直し」口に

 高まる批判に、制度発足からわずか一カ月で、福田政権と与党は「見直し」を口にし始めました。制度の行き詰まりを示すものです。しかし、あくまでも「制度の骨格、考え方は必ずしも悪くない」(福田首相)という姿勢を変えようとはしていません。

 新聞各紙の社説には「医療の助けを最も必要とする人たちを年齢で区切っていいのか、という根源的な問題も横たわる」(秋田魁新報、四月十六日付)、「白紙に戻すことも視野に入れつつ、今国会で議論をしっかり深めてもらいたい」(信濃毎日新聞、同二十六日付)と問う論調が目立ち始めています。

後期高齢者医療制度 混乱の1カ月

4月1日
 後期高齢者医療制度始まる/政府が、通称を「長寿医療制度」にすると突然発表

11日
 保険証が6万3千人以上に届いていないと厚労相が発表。保険料徴収手続きの誤りなど次々発覚

15日
 保険料の年金天引き実施。抗議殺到/舛添厚労相が「7、8割の人は(保険料が)値下がりするのではないか」と発言

17日
 日本共産党の小池晃参院議員の国会追及に、厚労相が「(保険料は)正確なところはわからない」と事実上発言を撤回/自民党内に制度の「再検討議員連盟」発足

27日
 衆院山口2区補欠選挙で自民候補が惨敗

30日
 首相が「制度の集中点検」を指示。厚労相が保険料の実態調査実施を表明



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