2008年5月3日(土)「しんぶん赤旗」

違憲判決が確定

自衛隊イラク派兵

名古屋高裁


 日本国憲法施行から六十一周年を前にした二日午前零時、自衛隊のイラク派兵を憲法九条違反とした名古屋高裁の画期的な判決が確定しました。自衛隊違憲判決が確定したのは初めてです。


 判決が確定したのは、愛知県の住民らでつくる原告側が上告しないことを決定、上告期間(判決から二週間)が過ぎたためです。被告の国側は、判決で原告の損害賠償請求などが棄却されたため上告できませんでした。

 判決は、首都バグダッドを「戦闘地域に該当する」と判断、米軍など多国籍軍の武装兵員をバグダッドに空輸する空自の活動は「他国による武力行使と一体化した行動であって、自らも武力の行使を行ったと評価を受けざるを得ない」と認定。

 「政府と同じ憲法解釈に立ち、イラク特措法を合憲とした場合であっても、憲法九条一項に違反する」と結論づけました。

 また、憲法の平和的生存権をすべての基本的人権の基礎と位置づけ、裁判で救済を求めうる具体的権利としました。

 自衛隊を違憲とした判決では一九七三年の長沼ナイキ訴訟の札幌地裁判決があり、安保条約にもとづく米軍駐留を違憲とした判決には一九五九年の砂川事件・伊達判決があります。しかし、いずれも上級審で覆されました。

 政府は「(空自の活動に)なんら影響を与えるものではない」と居直ってきましたが、判決確定で司法判断を尊重する義務がより明確になりました。



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