2008年5月2日(金)「しんぶん赤旗」

道路“本丸” 特例法改定案が焦点に

高速道建設の“自動装置”

自・公が、また再議決ねらう


 ガソリン税などの暫定税率復活を含む歳入・税制関連法案について、与党は四月三十日の衆院本会議で再議決を強行し成立させました。

 二・六兆円もの実質的な大増税は、諸物価の高騰にあえぐ国民にさらに追い打ちをかけることは明らかで、許されない暴挙です。

 一方で今後、十二日以降に与党が衆院で再議決を狙う道路整備財源特例法改定案の行方が焦点となります。政府・与党の矛盾に満ちた立場が、国民の前により鮮明になることは必至です。

 暫定税率は、道路特定財源を前提に導入され、高速道路建設を“加速”してきました。同時に、これを法的に可能にしてきたのが、ガソリン税などの使途を道路整備に限り、その予算の総額決定を義務づけた道路整備財源特例法です。これこそが、際限のない高速道路建設の“自動装置”であり、道路特定財源の“本丸”です。

 政府は、同特例法が三月末に期限切れとなるため、期間を従来の二倍の十年に延長する改定案を今国会に提出しました。しかし、衆院は通過したものの、参院ではいまだ審議中で、四月一日に道路特定財源は失効しました。改定案が成立しない限り、ガソリン税などの税収を道路特定財源に充てることはできず、法的にはいまも一般財源のままです。

 福田康夫首相は、道路特定財源を二〇〇九年度から一般財源化すると表明する一方で、特例法改定案の一刻も早い成立を訴えています。しかし、来年度からの一般財源化と、今後十年間にわたり道路特定財源を維持するための改定案を成立させることとは根本から矛盾するものです。

 暫定税率復活を「やむを得ない」とする「日経」でさえ、一日付の社説で改定案については、「〇九年度から一般財源化するとした福田康夫首相の方針と矛盾しており、このまま再可決するのは好ましくない」といわざるを得ません。「朝日」一日付社説は「首相はこの法案を断念すべき」だと主張しました。

 自民党内部でも、暫定税率復活ではいわゆる“造反”は出ませんでしたが、特例法改定案をめぐっては、予断を許さない状況があります。このため、執行部は、“造反”の可能性のある議員を強烈に締めつけるとともに、「一般財源化」を「閣議決定」に格上げするとしてなだめるなど、あの手この手を打っています。

 福田首相をはじめ、際限のない高速道路建設に固執する政府・与党の大勢は、特例法改定案の成立にやっきです。参院に改定案が送付されてから六十日が経過するのが今月十二日。それ以降、暫定税率と同様、参院で否決されたとみなし、衆院で三分の二以上の多数によって再議決・成立を狙っています。

 日本共産党は、改定案再議決について、「まさに道路特定財源という仕組みそのものを復活させるものであり、絶対に反対」(志位和夫委員長、四月三十日)であり、徹底した論戦を軸に、阻止に全力を挙げる構えです。(小泉大介)



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