2008年5月1日(木)「しんぶん赤旗」

漁業被害、補償上回る

諫早湾干拓 漁民ら提訴

長崎地裁


 諫早湾内やその周辺で漁業を営む長崎県や佐賀県の漁民ら四十一人が漁業権を侵害されているとして国に対し諫早湾干拓事業で建設された潮受け堤防の北南に設置されている排水門の開門や損害賠償を求め三十日、長崎地裁に提訴しました。

 訴状や原告弁護団によると、諫早湾内に漁業権を持っている漁業組合に所属する原告らは、干拓事業開始に際し漁業補償を受けていました。漁業補償を受けたのは、干拓事業が始まっても、経営が持続可能で、漁獲の減少は一定割合に限られるという国の説明を信じたからといいます。

 しかし、タイラギ潜水漁業は休業を余儀なくされてしまっており、被害は漁業補償をはるかに超えました。

 今回提訴に踏み切った小長井漁協理事の松永秀則原告団長は「国にはだまされた。みんな気持ちは一緒だと思う。何万人という漁業者、地域の人にかかわっていく問題で、有明海を戻すためには『開門』しかない」と話しました。

 馬奈木昭雄弁護士は「補償の金額が被害額の二割から三割しか支払われていない。将来、収入があるかといえばあると言っていたのが国。また漁はできるよという前提で農水省は物事を進めてきた。でもできていない」と国の姿勢を批判しました。

 原告らは、開門のほか、損害賠償請求として一人六百五万円の支払いを求めています。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp