2008年5月1日(木)「しんぶん赤旗」

食料危機

7.5億ドル緊急援助を

国連事務総長 国際社会に要請


 【パリ=山田芳進】国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は四月二十九日、食料価格急騰からくる世界的危機に対処するため、国連世界食糧計画(WFP)が提起している七億五千五百万ドル(約七百八十七億円)の緊急資金援助を国際社会に求めました。食料危機対策をテーマに二十八日からスイスの首都ベルンで開かれていた、国連二十七機関の事務局長が集まる会合後の記者会見で発表しました。

 潘事務総長は、「約束された支援が実現されていないことが人道支援の困難を招き、世界中で飢餓や栄養不良状態が増大している」と指摘。具体的対策の一環としてまず七億五千五百万ドルの緊急資金援助を国際社会に求め、それがなければ「かつてない規模の広範な飢餓、栄養不良、社会的蜂起が再び起こりかねない」と訴えました。

 WFPのシーラン事務局長は、食料価格の高騰により「今年は昨年の援助実績の60%しか保証できていない」と指摘しました。

 ゼーリック世銀総裁は、もっとも脆弱(ぜいじゃく)な国々への緊急援助を開始すると表明。食料輸出国に対して、食料のストックは「価格を高騰させ、もっとも貧しい人々が食料を手に入れることを困難にする」と述べ、禁輸を実施しないように求めました。

 潘事務総長は「われわれには資金も知識もあり、何をすべきか分かっているので、世界の食料危機に対処できると確信している。(食料危機問題を)ピンチとしてだけでなく、チャンスだととらえるべき」だと発言。六月三日から五日まで、ローマで開かれる食糧安保に関するハイレベル協議に世界の指導者が参加することを改めて呼びかけました。また関係する国際機関の動きを調整する強力な作業部会を設置し、自ら座長を務めると述べました。



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