2008年4月28日(月)「しんぶん赤旗」

「つまらない見せ物」

シリア核情報 英紙が酷評


 【ロンドン=岡崎衆史】シリアの原子炉建設を北朝鮮が支援したとの米政府の主張について、英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙二十六、二十七日付社説は、イラク・フセイン政権の大量破壊兵器保有を主張してイラク戦争を強行した米政府の過去の誤りなどに触れ、「単なるもう一つのつまらない見せ物となりうる」と酷評しました。

 社説は「米国の主張は多くの疑問を招く」として問題点を列挙。(1)核燃料の取得先(2)プルトニウム分離装置と使用済み燃料の再処理施設の場所(3)軍事利用計画の証拠(4)米国(とイスラエル空軍)が国際原子力機関(IAEA)への報告を怠った理由―を挙げました。

 米政府が情報を公開したタイミングについては、「六カ国協議の重大局面で北朝鮮を窮地に追い込む」可能性を指摘し、これについて、チェイニー副大統領などブッシュ政権のタカ派の影響を挙げる声もあるとしました。さらに、イランの核保有阻止のための圧力説や、シリアとイランの同盟阻止を狙った可能性にも言及しました。

 同紙はまた、「米国の情報活動の力に疑問」と題した別記事も掲載。「米国の情報活動が再び、不十分な(情報の)産物に飛びつき、適切な文脈でそれを発表せずに、必要のない混乱を招いた」とのアンソニー・コーデスマン氏(米シンクタンク、戦略国際研究センター)のコメントなど、軍事、核問題専門家からの疑問の声を紹介しています。



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp