2008年4月22日(火)「しんぶん赤旗」
進歩派大統領が誕生
ルゴ氏 中南米の変革拡大
パラグアイ
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【アスンシオン=島田峰隆】南米パラグアイで二十日、大統領選挙の投開票が行われ、野党連合「変革のための愛国同盟(APC)」の進歩派フェルナンド・ルゴ候補(元司教)が、与党コロラド党のブランカ・オベラル候補、元陸軍司令官のリノ・オビエド候補を破って当選しました。開票率92%の段階で、ルゴ候補が40・83%を獲得し、オベラル候補は30・71%、オビエド候補は21・98%でした。
![]() (写真)ルゴ候補当選に歓声を上げる支持者ら=20日、アスンシオン(島田峰隆撮影) |
「新しい発展モデル」「社会的排除の克服」を掲げるルゴ氏は、貧困層支援、汚職一掃、農地改革などを主張。外交では、ラテンアメリカ諸国に広がる進歩的政権の変革と歩調をあわせ、地域統合を推進する立場です。ルゴ氏の選挙母体のAPCは中道右派の自由党と左派連合が同盟を組んでいます。
ルゴ氏の勝利により一九四七年から軍政時代も含めて六十一年間続いたコロラド党の支配は崩壊。新自由主義からの脱却と対米自立を追求するラテンアメリカの変革の流れが着実に広がっていることを示しました。
ルゴ氏は二十日夜、アスンシオン市内で支持者を前に演説。「主権は国民にある。私は最も貧しい人々に対しての約束を改めて繰り返したい」と語り、国民の三割を占める貧困層への支援を強める決意を述べました。ルゴ氏の支持者らは、市内に繰り出し、花火を打ち上げたり、踊ったりして勝利を祝っています。
二〇〇三年八月発足のドゥアルテ政権は、国際通貨基金(IMF)との協定に基づき、「構造改革」を推進。しかし、大規模な農産物輸出業者など一部の富裕層は潤ったものの、貧困率は下がらず、雇用も創出されませんでした。同党のもとで広がる汚職にも強い批判が出ていました。
パラグアイ 人口約六百万人。面積約四十万平方キロ(日本よりやや広い)。一人当たり国民総所得約千四百ドル(約十四万円)。農業国。主な輸出品は綿花、大豆。公用語はスペイン語。一八一一年スペインから独立。


