2008年4月19日(土)「しんぶん赤旗」

後期高齢者医療制度

公明党が“宣伝役”

怒り沸騰するなか

厚労省の言い分そのまま


 七十五歳以上を差別する後期高齢者医療制度に全国で怒りの声が沸き起こるなか、公明党が「長寿を喜ぶ社会のための医療制度」などと宣伝役を買って出ています。公明党は二〇〇六年の国会で、自民党とともに制度を推進・強行成立させました。

 いま、自民党内からは「見直し」の声が上がっているのに、公明党は太田昭宏代表が「(野党が)言っていることは、すべて罵倒(ばとう)や中傷」(十五日)と断じ、全議員が現場で制度のポイントを訴えるよう檄(げき)を飛ばしました。

 坂口力副代表(元厚生労働相)も「医療制度を政治的に利用することは許されない」(公明新聞十八日付)と制度擁護に必死です。

都合から出発

 公明新聞は連日、後期高齢者医療制度について、▽保険料は安くなる人が多い▽これまでと同様の治療が受けられる▽医療費の窓口負担は変わらない―などと“利点”を列挙。保険料の年金天引きについても、「わざわざ役所や金融機関に出向く必要をなくす」ためと言いつくろっています。

 どれも、厚労省の言い分を繰り返しただけで、高齢者の実態や、医療関係者、マスメディアまで広がった国民の怒りをみない議論です。

 とくに、厚労省の試算を根拠にした“保険料は安くなる”という主張は、完全に成り立たなくなっています。

 厚労省のモデルケースで試算しても保険料が跳ね上がる自治体が続出していることを、日本共産党の小池晃政策委員長が国会質問(十七日)で明らかにしたからです。

 小池氏の追及に舛添要一厚労相も「(下がるかどうか)正確なところは分からない」と、「安くなる」という主張に根拠がないことを認めました。

 年金天引きも、どれだけ保険料を値上げしようが自動的に取り立てるという厚労省の都合から出発しています。

 そもそも同制度は、公明党が「安心の制度」などとバラ色に描けるものではありません。

責任を棚上げ

 制度の狙いが「医療費が際限なく上がっていく痛みを、後期高齢者が自らの感覚で感じとっていただく」(厚労省担当官)ことにあるのは明らかです。

 公明党は昨年の参院選での与党大敗以降、同制度の見直しを打ち出しましたが、中身は保険料負担の一部凍結だけ。年齢でお年寄りを差別するという制度の根幹には手をつけるものではありません。「構造改革」路線の「修正」を迫られ、慌てて手直ししただけです。

 同制度は、公明党の坂口厚労相時代(二〇〇〇―〇四年)に議論が進められ、同じく赤松正雄・厚労副大臣時代の〇六年に導入されました。

 自らの責任を棚上げし、不誠実な態度を続けるのかが問われます。


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