2008年4月16日(水)「しんぶん赤旗」

特例法改定案 ここが問題

道路特定財源復活狙う

きょう参院 審議入り


 政府提出の道路整備財源特例法改定案が十六日、参院本会議で審議入りします。道路特定財源の根拠となっている同特例法が、一日で失効したため、政府・与党は改定案成立で特定財源の復活をねらっています。どんな法案か、改めて問題点を見てみました。


 特例法は、ガソリンにかかる揮発油税の全額と、石油ガス税の二分の一を、高速道路や一般国道の建設などの道路整備に充てることを定めていました。巨額の税金を道路特定財源にしている法的根拠がここにあります。

10年に期間延長

 さらに、特例法では、国土交通相に「行うべき道路の整備に関する事業の量の案を作成して閣議の決定を求めなければならない」と定めていました。道路整備の総額をどのくらいにするかの法的根拠となっています。失効した現在は、特定財源がなくなるとともに、総額を定めた道路計画を決める法的な必要性もなくなっています。

 改定案は、法律の名称を「道路整備財政特別措置法」に変えますが、この事業量の規定は残します。しかも期間を五年間から十年間に延長します。十年間で総額五十九兆円を道路事業に使うことを決める、“総額先にありき”の、政府の「道路中期計画(素案)」は、改定案なしには成り立ちません。

 この計画には、バブル期に策定された一万四千キロの高速道路計画の建設推進、六千九百五十キロの地域高規格道路の整備などが盛り込まれています。計画の約四割が高速道路の建設で、際限のない高速道路建設を推し進めるものです。

総額先にありき

 〇二年に閣議決定した「構造改革と経済財政の中期展望」では、「公共事業関係長期計画は…資源配分を硬直的なものとし、経済動向や財政事情を迅速に事業へ反映することを困難にしている」と、公共事業における総額方式の長期計画を否定しています。閣議決定に照らしても、“総額先にありき”の道路中期計画はまったく必要ありません。

 福田康夫首相は三月末、道路特定財源の二〇〇九年度からの一般財源化を提案し、十一日に政府・与党の正式決定になりました。一年後に一般財源化するといいながら、道路特定財源を復活させ、今後十年にわたり維持するための改定案を通そうとするのは根本から矛盾しています。

 ガソリン税、軽油引取税などの暫定税率を延長する租税特別措置法改定案、地方税法改定案は参院で審議中です。暫定税率が四月二十八日、特例法改定案が五月十一日までに参院で議決されない場合、政府・与党は衆院で三分の二以上の多数による再議決をねらっています。

 首相が本気で一般財源化をめざすなら、これらの法案は廃案にし、道路中期計画は撤回するしかありません。(小林拓也)

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