2008年4月13日(日)「しんぶん赤旗」

有明再生の道探究

シンポ開催 水門開放求める

諫早干拓


 潮受け堤防の閉め切りにより深刻な漁業被害が発生している諫早干拓(諫干)について、諫早干拓緊急救済本部、干潟を守る日諫早実行委員会は十二日、干潟を守る日2008 IN 諫早シンポジウム「水門開放〜有明海再生の道すじ〜」を開催しました。約八十人が参加し、活発な質疑応答が交わされました。

 諫干事業は約二千五百億円をかけて昨年十一月に「完工」、今年四月に営農が開始される一方、諫早湾・有明海では赤潮、貧酸素水塊が頻発しています。魚介類は壊滅状態で、漁業者は困窮を極めています。干拓地での営農に用いられる調整池の水質は改善の見通しがたたず、その対策や管理でさらなる財政負担が懸念されます。漁民や市民団体などは調整池へ海水を導入することで干潟、有明海は再生すると訴えています。

 シンポジウムでは、水門の常時開門を求め、来月初旬に長崎地裁に提訴が予定されている「よみがえれ! 有明海」小長井・大浦漁業再生請求事件の松永秀則・原告団長(54)が「漁業はひん死の状態だ」と窮状を告発しました。裁判に向けて「(国や県の)圧力がかかっても一歩も譲らない気持ちで頑張る」との決意を表明しました。

 同弁護団の堀良一弁護士は、諫干にかかる矛盾点・問題点として▽干拓農地に莫大(ばくだい)な公金を投入する半面、中小零細農家には出さない「差別的な農政」▽毒性の高いアオコが発生する汚れた調整池の水で作られた作物の「食の安全性」などを例示。解決の展望は「開門にある」とし、これまで諫干に賛成してきた人も含め開門に向けた運動は展開できる、と強調しました。

 九州大学大学院教授の経塚雄策氏が講演し、水門開放の効果を学問的に解明。「水門の制御開門」などの方法を示しました。


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