2008年4月13日(日)「しんぶん赤旗」

国内対策 新法を提案

温室効果ガス削減すぐに

環境団体が骨子


 環境市民団体の気候ネットワーク(浅岡美恵代表)は十二日、地球温暖化対策推進法を抜本改正する新しい地球温暖化対策法として「気候保護法」第一次案の骨子を明らかにしました。


 同日、東京都内で開かれたシンポジウム「危険な気候変動を防止するために 気候保護法の実現に向けて」で、浅岡代表が「地球の気温上昇を二度に抑えることが求められている。今すぐ温室効果ガスを削減することが将来の世代にもっとも軽い負担になる」とのべ、市民の力で法律制定をとよびかけました。シンポジウムでは、同法の制定を求めるキャンペーンを広げようと弁護士、研究者、環境NGOのスタッフらがパネルディスカッションしました。

 浅岡代表は、「二酸化炭素など国内の温室効果ガス排出が大排出源の工場・発電所・輸送業の約八千事業所で日本全体の68%を占め、わずか二百事業所だけで約半分にもなる」と強調。新たな法律制定が必要な理由について、中長期の削減ビジョンをもつことが急務になっているのに「地球温暖化対策推進法は二〇一二年までの期間だけで、京都議定書目標達成計画も数字合わせで削減担保がない」と説明しました。


2020年に30%、2050年に80%減

自然エネルギー利用をうながす

 気候ネットワークの浅岡美恵代表は、十二日のシンポで気候保護法第一次案の要点を紹介しました。

 同法案は、第一条(目的)で、二〇二〇年と二〇五〇年の削減数値目標などを定め、目標達成のための措置や提言をおこなう気候変動委員会(仮称)の設置を提起。温室効果ガス(二酸化炭素など六種類)について、二〇一二年に6%減、二〇二〇年に30%減、二〇五〇年に80%減の目標をむすんだ経路を毎年の削減目標とし、自然エネルギーを二〇二〇年に20%(〇五年2%)とする目標を新設する必要があるとしています。

 さらに、温室効果ガスの報告公表制度の拡充や、大規模事業所からのCO2排出に価格をつけ排出上限枠を設ける国内排出量取引や炭素税などの経済的措置を提起。自然エネルギー利用促進や実効性ある削減対策の導入などを盛り込む必要があるとしています。


気候保護法第一次案のポイント

1 中長期目標と削減経路
・気温上昇を2度未満に2020年に1990年比30%減、50年に80%減に至る年次目標を明記
2 温室効果ガス排出情報の報告・公表制度拡充
・間接排出から直接排出で把握
・「非開示」情報の原則公開と報告の第三者による検証
3 大排出源の事業所の国内排出量取引制度導入
・毎年の排出枠を規定し2010年1月実施を明記
4 炭素税導入と自然エネルギー利用拡大
・発電所などCO2排出量に課税
・2020年に国内総エネルギーの20%の目標と固定価格買取制度導入
5 削減行動の監視と市民参加のしくみ
・目標や政策・対策に提言する独立した気候変動委員会(仮称)の設置
・政策立案に市民参加を明記



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