2008年4月8日(火)「しんぶん赤旗」

NTT 派遣法違反が横行

偽装請負・二重派遣→雇い止め


 NTTグループで、偽装請負や二重派遣など派遣法違反の実態が次々と明らかになっています。雇い止め(解雇)された派遣労働者が通信産業労組に加盟し、直接雇用を求めて立ち上がるなどたたかいを広げています。


 グループで約二十万人いる労働者のうち派遣など非正規雇用労働者は約九万人にのぼります。

 NTT西日本内では、NTTコムウェア西日本が、グループ内の人材派遣会社「テルウェル西日本」に委託している業務に別の派遣会社の労働者を働かせる「二重派遣」を行っていました。

 NTTコミュニケーションズでも、NTT西日本関西に委託した業務に別の複数の派遣会社から派遣された派遣労働者を働かせていました。

 同社では、偽装請負が問題になった〇七年、派遣労働者を有期の直接雇用に切り替えましたが、賃金は元の派遣会社ごとにバラバラで雇い止めの不安にさらされています。

11万人減らす

 こうした違法派遣を続けながら、雇い止めするケースも起きています。

 NTT西日本徳島支店では、「116」の電話受付業務に派遣会社から六年間も労働者を受け入れていました。

 電話受付は派遣期間を制限されない専門業務の一つですが、他の労働者を新たに雇い入れるときには派遣労働者に直接雇用申し入れ義務が生じます。ところが、同支店では別の労働者を雇い入れながら、直接雇用を申し入れもせず、〇七年九月末で雇い止めしました。

 この労働者は、解雇前の昨年九月、派遣法違反だとして徳島労働局に直接雇用を求める申告を行いましたが、労働局が調査している間に解雇されてしまいました。

 派遣労働者にもかかわらず、NTTの部長がこの労働者に「売り上げが悪い」などといって派遣会社に契約更新しないよう働きかけるなど、派遣法で禁止されている「派遣労働者の特定」を行っていたことが労働者の証言などで明らかになっています。

 電話受付業務などはもともと、正社員が行っていました。NTTでは、「十一万人リストラ」によって基幹的な業務のほとんどを子会社などに移し、そこに派遣会社から労働者を受け入れ、正社員減らしをすすめてきました。子会社も派遣会社もNTTが人もカネも出してつくった会社で、人件費削減のためだけに行ったリストラでした。

団交で成果も

 通信労組ではこの間、こうした違法な実態をなくすとともに、労働条件の改善などを求めてきました。

 二重派遣で四年間働かされたうえ、〇七年に解雇された労働者の事件では、団体交渉で解雇を撤回させ、未払いとなっていた割増賃金を支払わせています。

 偽装請負で働かされたうえ解雇された労働者については、派遣法にもとづいて直接雇用するよう求めるとともに、有期労働者についても不当な雇い止めは許されないとして正社員にするよう求めています。


直接雇用申し入れ
NTTに指導せよ

通信労組が厚労省要請

 通信労組は七日、NTTから不当に雇い止めされた徳島県の派遣労働者の問題で、NTTが直接雇用の申し入れ義務を果たすよう厚生労働省に指導を要請しました。

 要請には、山田忍委員長ら三役や、申告者のいる四国から重見幸春執行委員が参加。日本共産党の高橋千鶴子衆院議員が同席しました。NTTグループ各社に対し、派遣社員を正社員の代替として働かせる実態を是正し、直接雇用を働きかけることも求めました。

 山田委員長は、NTTは政府が大株主の公共企業であり、違法・脱法行為は許されないと指摘。「NTTグループ内から派遣社員らの悲鳴が寄せられている。正社員化の道をもっと太くする指導をしてほしい」と求めました。厚労省の担当者は、実態を調査し指導していくとのべました。



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