2008年4月7日(月)「しんぶん赤旗」
ゆうPress
都会の新生活
トラブル予防の知恵
進学や就職で、都会で新生活を始める人が多いこの季節。新しい出会いや発見に胸をふくらませている人も多いはず。でも一歩街に出ると、危険な誘惑もいっぱいです。トラブルに巻き込まれず快適なスタートを切るには―。(塚越あゆみ)
セールス・勧誘 対処法は?
Q 姉が就職で上京したとき、街で声をかけられて危うく高額な商品を契約するところだった。私もこの春、都会に出てきたけれど、悪徳セールスや水商売の勧誘に乗せられないためには、どんなことに気をつけたらいい?
ついて行かず、きぜんと断る
A エステ、美顔器、キャバクラ、化粧品、絵画…。繁華街を歩くとさまざまな勧誘が後を断ちません。東京都では、1日から「改正」迷惑防止条例を施行。これまでの「風俗などのスカウト行為の禁止」に加え、キャバクラなど「歩行者の前に立ちふさがる悪質な客引きも違法行為」としたものの、まだまだ油断は大敵です。
街頭キャッチセールスの被害者の多くが10代、20代の女性。「アンケートに答えて」「モデルをやりませんか」などと声をかけ、喫茶店や店舗などに連れ込み、甘い言葉をかけたり目的を隠して不安をあおったりして商品やサービスを契約させるのが主な手口です。
声をかけやすいタイプを聞いてみると、「ひとりの人」「時間に余裕がありそうな人」とのこと。
国民生活センター情報部の園田多美子さんが、トラブル防止のアドバイスをしてくれました。
(1)声をかけられても応じない
(2)万一、話を聞いてもビルや店舗に絶対同行しない
(3)不要であれば毅然と断る
(4)契約してしまったら、クーリング・オフで契約を解除する
(5)何かあれば、早めに最寄りの消費者生活センターに相談を
新しい活動 始めたいけど
Q 地域や学校で、何か仲間と新しいことを始めたい。でも街や大学では、反社会的な活動をする“宗教”団体や暴力団体が潜んでいるので注意してと呼びかけているし…。どうすればだまされないんだろう?
団体の情報集め、見極めて
A スポーツ・文化系サークルや社会科学系の研究会など、多くは共通の目的や要求を持って、まじめに活動しています。「百聞は一見にしかず」。行動し、体験してこそ成長できるものです。
注意したいのは、組織的に暴力や反社会的な行為を繰り返している暴力集団や、霊感商法で知られる「統一協会」など。素顔を隠して自治会やサークルを名乗っている場合があるので注意が必要です。
原和良弁護士が教えてくれたポイントは「即断をしない」。看板に偽りがないか冷静に判断して。まずは、信頼できる友人などに聞く。どういう団体か情報を集めた上で、本当に自分に有益な組織なのか、裏付けを持って調査することが大切です。
高額の入会金を取られたり、しつような嫌がらせの電話がかかってきたりしたら、友人や専門家に勇気を持って早めに相談してください。失敗は誰にでもあることです。
だからと言って、内向きになる必要はありません。今は、自分が将来についてどう考えるか大事な時期。若い時の失敗や苦労は、あとで必ず役立ちます。失敗を恐れず社会に目を向けて、環境問題や人権問題、平和や経済、社会について関心を広げ行動しましょう。
苦手のお酒、どう断る?
Q 春はお酒の季節。お酒の場は苦手だけど、大学の仲間や会社の上司が誘ってくれた…どうしよう? 一気飲みをすすめられたりアルコールが飲めない場合、どうすればうまく断れる?
カド立てず気持ち伝えて
A 上下関係がある場合は特に、断りにくいですよね。カドが立たないキーワードは「お酒にはNO、人間関係にはYES」です。
アドバイスをくれたのは、ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)代表の今成知美さん。
事情があって宴席に参加できなくても、「誘ってくれてありがとう」の気持ちを伝えましょう。「また次回に」「お酒は苦手だけど、今度ランチやカラオケに行きましょう」と、一言添えてみてください。
宴席はOKでもお酒が飲めない時は、事前に幹事などに飲めないと伝えておくのも大切です。飲ませるのが「もてなし」と考えている人もいます。そんなときは「スペシャルドリンクを頼みます」とウーロン茶を頼むなど、もてなしてくれた人に配慮してください。
一気飲みを勧められたら、場の雰囲気を壊してでも断って。無理をして亡くなったり、うつや肝機能障害などの後遺症が残る場合もあるのです。事前に準備した一発芸を披露するのもユニークな手段かもしれませんね。
強制は人権侵害です。トイレに逃げ込んだり「気分が悪い」と言って帰るなど、とにかく自分の身を守ってください。
宴席でもてなす側の人にお願い。アルコールハラスメント(アルハラ)は絶対やめてください。
新生活応援します 民青同盟
民青同盟中央委員会の清沢達也さん 民青同盟は日本共産党を相談相手として、メンバーの悩みや願いを出発点に活動している全国団体です。新生活の相談にも乗っています。“仲間・要求・学び”を大切にし、「学費値下げ」「若者に仕事を」などの実現を目指して運動したり、環境問題や貧困問題などを学び、学内や街頭でも加盟を呼びかけています。
不安なことがあるときは、お近くの民青同盟や日本共産党の事務所に問い合わせることもお勧めします。
お悩みHunter
「結婚前に遊ばせて」彼の言葉にびっくり
Q 大学入学当時から付き合っている彼とは仲もよく、結婚を考えていました。ところが彼から「結婚はするけど、その前に2年間、自由に遊ばせてほしい」という趣旨のことを言われ、びっくりしました。結婚したい気持ちも少し変わってしまいました。(22歳、女性、東京都)
自分の気持ちと向き合って
A ブッシュはよく「戦争」ということばを「自由」ということばに置きかえて演説されていますが、あなたの彼が言う「自由」とは、なんでしょうか? 「遊び」とは、なんでしょうか? 「2年間」で、彼の気持ちにケリがつくのでしょうか? 彼のことばから考えてみますと、「結婚をしてあげる代わりに、2年間、自由に遊ばせてほしい」と、結婚に交換条件をつけてきています。彼にとって、「結婚」とは、なんなのでしょうか? 私は女性として人間として彼のことばに深いいきどおりを感じます。
あなたにとって、「結婚」とは、なんですか? あなた自身の考えをしっかり見いだすことをまず始めてください。あなたは、「結婚したい気持ちも少し変わってしまった」。なぜですか? 自分の気持ちの変化に向き合ってあげてください。自分の心と体を大切にしてあげてください。
それでも、彼のことが好きで、愛していて、結婚したいならば、彼にあなたの疑問や気持ちの変化をすべて伝えてみてはどうでしょう。
彼はあなたに甘えているのでしょう。本当にあなたが彼を愛しているのなら、彼の甘えに応じるのではなく、彼がひとりの人間として自分の言動にしっかり責任を持つ人生を歩めるよう導いてあげてください。本当は彼はあなたにそれを求めているのかもしれません。
舞台女優 有馬 理恵さん
「肝っ玉お母とその子供達」など多くの作品に出演。水上勉作「釈迦内柩唄」はライフワーク。日本平和委員会理事。