2008年4月7日(月)「しんぶん赤旗」

学力テスト不参加 愛知・犬山市

“参加派”教育委員増へ 市長が条例案

「政治介入」と批判の声


 全国の公立小中学校で唯一、国の全国学力テストに参加しない愛知県犬山市で、田中志典(ゆきのり)市長が議会に教育委員増員(保護者枠)の条例案を提案、八日の臨時議会で審議されることになりました。

 一部のマスコミ報道によると、これは同テストへの参加を是認する考えを持った人を委員にすることを前提としたもので、議会の承認を経たうえで、ただちに任命するとされています。

 同市教育委員会は、同テストは教育現場に競争を持ち込み、豊かな人間関係をはぐくむ土壌をなくし、子ども同士や学校間で格差を生むなどの理由から、昨年に続き四月二十二日に実施される同テストに不参加を決定しています。

 市教委は、子どもに基礎的・基本的学力を保障する「学びの学校づくり」を実践。子ども同士の学びあい、習熟度別でない少人数授業、副教本作成、学校の裁量による授業・学級づくり、教師が学びあう授業公開や授業改善交流会などに取り組んできました。“教育の地方自治”として、全国の教育関係者などの大きな注目を集めています。

 市長は、二〇〇六年十二月の選挙で「全国学力テストへの参加」を訴えて初当選。その後も市教委の決定を批判する発言を繰り返し、昨年十二月、二人の教育委員の交代で、同テストへの参加を是認する委員を任命しました。

 今回の委員増員の動きに対して、議会関係者からも批判が起きています。元教師(60)は「学校と教育委員会が自主的に行う教育に、政治が圧力を加えるのは危険。学力テストは子どもの役に立たず、教育現場に無用な混乱を持ち込むだけ」と話しています。

 日本共産党愛知県委員会は三日、市長と宮地繁誠市議会議長に対し「全国学力調査への参加を目的とした、拙速な教育委員の増員条例の提案を行わないことを求める要請」を行いました。

市長態度許さず

 日本共産党の水野正光市議の話 急ぐ必要もない人事案件を、わざわざ臨時議会で決めるのは過去に例がなく、教育への介入の姿勢を浮き彫りにするものです。市長の態度を許さず、犬山の豊かな教育実践を市民の運動でささえていきたい。



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