2008年3月31日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

地域に音楽 根づかせて


 すてきな音楽を身近なところで聴きたい そんな願いを実現しようと地域に音楽を根づかせ、広げる取り組みが各地でおこなわれています。


始まりはペンションから

長野・原村

地図

 一月下旬、長野県原村のペンション「想い出」で、ニューイヤーコンサートがおこなわれました。池田敏美さんのバイオリン、藤井裕子さんのピアノの演奏が、ラウンジに響き渡りました。地元や各地から参加して下さった三十人近くの人が、目の前で奏でられる演奏を堪能しました。

 ニューイヤーコンサートは今年で二十四回目。始まったのは一九八七年秋。ここでコンサートを開くのが私の夢でした。当時、新星日本交響楽団(その後東京フィル)のバイオリニスト、池田敏美さんらプロの音楽家が快く引き受けてくださいました。

感動みんなに

 定員三十人の小さなペンション。そのラウンジにバイオリンやチェロの音色が広がった時、私は身震いを覚えました。この感動をたくさんの人に味わってもらいたいと思いました。

 その数年後、ペンションに隣接している村立の文化園に三百人収容の会議室(ホール)が完成しました。私は館長さんに「グランドピアノを入れてください」とお願いしました。願いはかないました。

 すぐに新星日響ファンクラブの「星空のコンサート」を開催したいという依頼がきました。クラブの人だけに聴いてもらうのはもったいないと思いました。そこで原村はじめ諏訪の六市町村長に「後援依頼」をしてまわりました。

音楽クラブも

 いまでは三カ所に立派なホールができましたが、当時諏訪にはまだ音楽ホールらしきものはなく、コンサートには岡谷はじめ各地から足を運んでくださいました。星空のコンサートは今、原村の夏の恒例イベントとして定着しています。

 二十年余経た今、原村では八ケ岳美術館主催のコンサートが開催されるなど、年間十回近くの音楽会が開かれるようになりました。村民を中心に「八ケ岳 森の音楽クラブ」が発足し、音楽を楽しむ場も広がりました。原村は南、北、中央アルプス、富士山を望み、雄大な八ケ岳山ろくに広がります。ペンション村は標高一三〇〇メートルに位置する七十軒近くの集落です。

 いつ訪ねて来ても「音楽の流れる村づくりの夢」がかないつつあります。ペンション経営を続けながら「私にできること」、それが音楽を通しての村おこしの一つだったかもしれません。(ペンション経営者・長浜信代)

市民が支える 関西フィル

大阪・港区

 二十人も入れば満員の会場で、関西フィルハーモニー管弦楽団(以下関フィル)メンバーによる演奏がおこなわれました。終わったあとの懇談で、「楽団の練習場がある地元に関フィルの応援組織を作るため世話人になってください」と演奏者から訴えられました。

 いまから十年前のことです。大阪市港区に拠点を置く関フィル楽員のみなさんは当時、「ちょっとおじゃま演奏」や「親子コンサート」など、他の楽団にはない試みで、市民に支援を訴えていました。演奏の感動さめやらぬ時の真剣な訴えに「ハイ、わたしやります」。

 当時、スポーツ連盟大阪テニス協会の事務局長の仕事をしていた私は、思わず手を挙げていました。

子どもと共演

 会設立のため、幾度となく集まり、「音楽文化の香り高い街づくりのため、関フィルとともに歩む」を趣旨に多彩な人が呼びかけ人に名を連ね、一九九八年二月、「関西フィルとともに歩む会」は結成されました。私は発足以来世話人を務めています。

 関フィルメンバーの演奏に地元中学校の音楽部員をゲストに招いてコンサートを開くため、学校やPTAに訴えて回りました。プロの指導と共演、子どもたちの目の輝きが、「会」の活動の大きな力になりました。

 この十年間、地元で年三回ほど関フィルメンバーを招いて小さなコンサートを続けてきました。また、楽員紹介や定期演奏会の聴きどころを載せたニュースの発行、さらにサイクリングやハイキングなどで楽員と会員の交流も深めています。

 この会が十年も続いたのは、楽員のみなさんの、オーケストラは市民とともに!という思い。それと、目の前で生の演奏に触れて感動したり、近所で気軽にクラシックを楽しめることがつながっていると思います。

生活は厳しい

 しかし、私たちの心を豊かにしてくれる大半の音楽家の人たちの生活はとても厳しく、支える人がいなければ維持していくのが大変です。

 一方でわたしたちも、生の音楽を聴くには高い入場料が必要です。ある意味で、ともに文化的といえない似通った生活状況があります。

 今後も楽団への公的助成の増額を望み、“わが街のオーケストラ”を応援し支える活動を続けていきたいと思っています。(関西フィルとともに歩む会会長・足立敏博)


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