2008年3月30日(日)「しんぶん赤旗」

学習指導要領 「修正」のウラ

我が国と郷土を愛し

「君が代」歌えるよう


 小中学校の改定学習指導要領が二十八日、官報告示されました。約三年の改定作業を経てまとめられましたが、官報に告示する段階で、異例の重大な「修正」が行われました。その中身は…。


 二月に公表された改定案からの「修正」は百八十一カ所。その大半は字句の修正などですが、総則に「我が国と郷土を愛し」という文言を挿入。「君が代」を「歌えるよう指導する」(小学・音楽)と明記するなど、改悪教育基本法が教育の目標に掲げた「愛国心」の育成を露骨に押しつけています。

 教科では「神話」を新たに盛り込み(小学・国語)、「国際貢献について考えさせる」(中学・社会)と自衛隊の海外活動を意味する文言をつけ加えています。

 文部科学省は一カ月間の意見公募で、五千六百七十九件が寄せられたとしています。異例の「修正」には保守系の政治家などの圧力や不満があったと報じられています。

表

解説

「靖国」派が圧力

 今回の「修正」の背後には、安倍政権の崩壊で打撃をうけた「靖国」派の「巻き返し」があります。

 「靖国」派の教育団体「日本教育再生機構」は学習指導要領改定案にたいし、「改正された教育基本法・学校教育法の理念や目標がほとんど反映されていない」と不満をあらわにした「談話」を発表し、文科省への圧力をつよめました。自民、民主などの国会議員で構成される「日本会議国会議員懇談会」、先ごろ政治活動に「復帰」した安倍前首相などの動きもあります。

 「修正」によって各学校は「これら(教育基本法と学校教育法)に掲げる目標(愛国心などの「徳目」)を達成するよう教育を行う」とされました。国家権力の掲げる目標どおりに子どもを鋳型にはめることが学校や教員の任務だという、改悪教育基本法の狙いが前面にでたもので、憲法の原則との矛盾を深めるものです。

 「君が代」を「歌える」ことを目標にしたことは象徴的です。「君が代」は侵略戦争のシンボルだっただけに、国民のあいだに疑問や拒否の感情があります。それを無理やり歌わせることは、憲法が保障する「思想、良心の自由」に反します。国旗国歌法案の審議で政府は「口をこじ開けてまで歌わす、それは全く許されない」と明言しており、「修正」を利用しての「君が代」強制は許されません。

 もともと新学習指導要領は、学習内容のつめこみなどによる教育格差の拡大、教育方法への干渉など子どもの学力に悪影響を及ぼすものでした。今回の「修正」でさらに問題が加わりました。徹底した批判のうえに、その撤回を求めていく必要があります。



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