2008年3月23日(日)「しんぶん赤旗」

「核抑止力を堅持」

平和団体が批判 先制使用を示唆

仏大統領


 【パリ=山田芳進】フランスのサルコジ大統領は二十一日、自国が保有する核弾頭を過去最大時から半減させる一方、核抑止力は堅持し、さらに場合によっては「核による警告」に踏み込むこともありうるなどとする軍事政策を発表しました。「核警告」が具体的に何を意味するか明示していませんが、核兵器の先制使用を示唆するものとして論議を呼ぶことは必至です。

 同国北西部のシェルブールで行われた新型原子力潜水艦の進水式での演説でのべたもの。同国で四隻目となる原潜は、新型の核弾道ミサイルM51(射程八千キロ超)を搭載し、二〇一〇年から配備される予定です。

 サルコジ氏は、同国にとって核抑止力は「完全に防衛的なもの」「その使用は極限状況における正当防衛だけ」と主張。同時に、核抑止力によって「外部からの侵略を防ぐ」とともに、敵が国家の死活的利益の境界線を取り違えるような場合には、「核による警告」に踏み込む可能性があるとの認識を表明しました。

 一方、空軍戦力を三分の一削減し、核弾頭数については過去最大時の約半数となる三百発以下にすると発表。国際社会に対し、一〇年の核不拡散条約(NPT)再検討会議に向けて核軍縮をめざし真剣に取り組み、米国や中国が包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准するよう求めました。

 国家予算で教育に次ぎ二番目に多い国防費については、額を引き下げる意思がないことも表明しました。

 大統領の演説に対し、核廃絶キャンペーンに参加する仏平和運動のビラール共同会長は、「核軍縮を言いながら、最新鋭の核ミサイルや原潜の導入で、核戦力を増強するもの。軍事費は削減せず、M51ミサイル配備計画には百五十億ユーロ(約二兆四千億円)が使われる。『核による警告』については、シラク前大統領が〇六年に核使用の可能性に言及したが、これをさらに一歩踏み込んだものだ」と批判しました。



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