2008年3月12日(水)「しんぶん赤旗」

お寒い消費者行政の実態が…

消費生活相談員協会が調査

相談員配置1人が16・8%も
95・8%が年収300万円未満
「雇用1年」、更新を繰り返し


 1日あたりの配置相談員数1人という人が16・8%、ほとんどが年収300万円未満――。全国消費生活相談員協会が発表した調査「消費生活相談窓口と相談員の実態」で、こんな貧しい消費者行政の実態が明らかになりました。

 同調査は会員を対象にして2月に実施、1197人から回答を得ました。このうち、現在も消費生活センターなどに勤務する924人の状況をまとめました。

グラフ

●昼休みも取れず…

 1日あたりの配置相談員数で見ると、「1人」が16・8%にものぼります(グラフ1)。「窓口開設時間も短く、事業者とのあっせんが十分にできない」「処理について気軽に相談する相手もいなくて、昼休みも取れない。休暇を取れば相談に穴が開いてしまうため、休暇も取れないのが現状」など、自由意見には一人体制の大変さがつづられています。

 雇用期間は「1年」が約80%で最も多く(グラフ2)、相談員の多くが1年契約の更新を繰り返して5年以上勤務しています。

 また、17・5%が契約更新の回数制限があり、「雇い止めのため、経験豊富で実力のある相談員がやめさせられ、新人ばかりになり相談の質が下がり、あっせん交渉がなかなかうまくいかない」「1年更新のため、いつ“首”になるかわからず、不安定な状況で勤務している」というのが実情です。

表

●時間外手当もなく

 年間収入では「150万円以上200万円」が22・5%、「200万円以上250万円未満」が23・1%と、この二つの層だけで5割近くを占めています(表)。また、75・4%の相談員は時間外手当がない状態で働いています。

 「相談員の勤務日数や勤務時間など一様でないために、年収額だけで一律に高いとか安いとか論じることはできない」としながらも、自由意見には「現在の収入では自立した生活ができない。大変な仕事の割には地位が低く、低賃金。プライドだけで仕事をしている状態。これでは優秀な人がすぐ辞めて、人材確保も難しい」「残業が必須であるにもかかわらず、残業代も出ない。その上、雇い止めもあり、まさに官製ワーキングプアである」など切実な声が寄せられました。

●民間委託は質落ちる

 各地ですすむ消費生活センターの民間委託については、「基本法の理念から考えても消費者行政は行政職員自らが取り組むべき分野であり、委託は行政の怠慢だと思う。直接相談を受けていないと、何が問題か感度も鈍り、行政処分の必要性がわからなくなる」「行政の予算で委託費が一律に削減され、労働条件が悪化し、相談処理の質も落ちる」という意見がありました。


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