2008年3月12日(水)「しんぶん赤旗」
韓国総選挙まで1カ月
与党、過半数の勢い
閣僚人事・公認問題で不安も
韓国の総選挙(四月九日投開票)まで一カ月を切りました。昨年十二月の大統領選では、李明博(イ・ミョンバク)大統領が圧勝し、ハンナラ党が十年ぶりに政権を奪還。現在、少数与党の同党は、李大統領の国政運営を安定させるための多数議席の獲得を目指しています。野党となった国会第一党の統合民主党(民主党)は、「政府をけん制する強力野党」を掲げて対抗しています。(中村圭吾)
大統領選の余勢を駆るハンナラ党は、五割近い支持を集めています。民放テレビSBSの八日の世論調査では、ハンナラ党の支持率44・6%に対し、民主党は16・5%と低迷。MBCテレビの世論調査でも五割の支持を得て、民主党に大きく水をあけました。
ハンナラ党の羅卿瑗(ナ・ギョンウォン)スポークスマンは、「国政を安定的に運営してほしいという国民の期待は大きい」「国会が、李政権の創造的実用主義の政策を積極的に支えるべきだ」と訴えます。
政権への評価48%
当初は、単独で憲法改正が可能になる二百議席(三分の二以上)の獲得を予測する声もありましたが、ここにきて同党の勢いにも陰りがみられます。閣僚人事をめぐり、不動産投機疑惑などを指摘された閣僚候補三人が辞退に追い込まれたことが影響しています。
政権発足直後の世論調査結果を比較すると、李政権の政権運営に対する肯定的な評価は48%で、金大中(キム・デジュン)政権の83%、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の72%よりも低い水準にとどまっています。回答者の六割が、閣僚人事の問題が総選挙にも影響すると答えました。
総選挙候補の公認決定をめぐるハンナラ党内の対立激化も不安材料の一つです。同党は九日までに百六十七選挙区の公認候補を発表。朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領の娘で、人気政治家の朴槿恵(パク・クネ)元代表の側近ら現役議員十一人が公認から外され、支持者が党本部につめかける騒ぎも起きました。
最大野党・統合民主党は、閣僚の平均資産が三十九億ウォン(約四億円)に達し、不動産投機疑惑も指摘されるなど、李政権を「金持ち内閣」「特権層の政府」と批判。「庶民のくらしを守る民生野党」「政府から中産層の利益を守る野党」の必要性を訴えています。
清新打ち出す野党
公認候補選びでは、「不正行為に関与した議員の例外なき排除」「現役議員の30%を入れ替える」とし、金大中元大統領の二男の議員らを事実上公認から外すことを決定。清新なイメージの打ち出しに努めています。
四年前の総選挙で初めて国会に進出し、第三党となった民主労働党は、大統領選後に分裂。「従北(北朝鮮追従)主義の清算」など党の改革を主張する勢力が大挙離党し、新党「進歩新党」の結成など総選挙に挑む準備を進めています。
韓国国会 一院制で、議員の任期は四年。定数は二百九十九で、小選挙区から二百四十五人、比例代表から五十四人を選出します。現勢力は、統合民主党一四一、ハンナラ党一二八、民主労働党九、自由先進党八、創造韓国党一、無所属九、欠員三。

