2008年3月12日(水)「しんぶん赤旗」

日銀総裁候補 所信聴取

武藤氏は「国民二の次」

会見で佐々木衆院議員


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(写真)記者会見する佐々木憲昭衆院議員=11日、国会内

 日本共産党の佐々木憲昭議員は十一日、衆院議院運営委員会で行われた武藤敏郎日本銀行総裁候補らの所信表明と質疑の終了後に記者会見しました。佐々木氏は、委員会でのやりとりを説明する中で、武藤氏について「アメリカや財政当局の立場を優先し、国民の暮らしと営業を二の次に考えるような姿勢に、根本的に疑問を感じざるをえない」と表明しました。

 武藤氏は、一九六六年に大蔵省(当時)入省後、二〇〇〇年六月に大蔵事務次官、〇一年一月から〇三年一月まで財務事務次官を歴任。〇三年三月から日銀副総裁を務めています。

 佐々木氏は質疑で、プラザ合意(八五年九月)後の超低金利政策について、武藤氏の見解をただしました。

 当時、政府・日銀は、アメリカの金融政策にしたがい、円高政策とともに、5%から2・5%への公定歩合引き下げを実施しました。超低金利政策がバブルをあおる一方で、家計から利子所得を奪いました。

 武藤氏は「低金利と公共投資拡大という政策は正しかった」との態度に終始。佐々木氏は会見で、「国民生活と日本経済を大変な事態に陥れた反省が全くない」と指摘しました。

 また、佐々木氏は、日銀による国債引き受けについて武藤氏の見解をただしました。

 武藤氏が財務次官だった〇二年十二月、財務省は日銀にたいし、国債の買い入れ増を要請。そのために日銀券発行の歯止めをはずすことを求めていました。

 財政規律を乱し、日銀の役割にも重大な疑問を投げかけたこの行為について武藤氏は、「デフレスパイラルをただすためにあらゆることをやる。まっとうだと言えないこと、異例だということをやることもある」と開きなおりました。

 さらに、佐々木氏は、日銀による安易な国債引き受けを容認する発言をしたことに関し、「総裁候補としては重大な問題がある」と強調しました。

 佐々木氏は、武藤氏が推進した社会保障費抑制路線についてもただしました。

 小泉内閣(当時)によって〇二年度予算から、社会保障の自然増を毎年圧縮する社会保障費抑制路線が敷かれました。当時、武藤氏は財務次官としてこの予算編成にかかわり、〇二年度予算では、社会保障の自然増を三千億円抑制しました。

 武藤氏は質疑で、制度維持のための自然増抑制を当然視。「三千億円の(自然増の)カットは受け入れられた」とのべました。

 佐々木氏は、「財務省の事務方のトップとしてやってきた国民犠牲の政策についての反省がまったくない。いまだにそれを当然と思っている」と同氏の見解を批判しました。

 佐々木氏は記者団から質疑の感想を問われ、「武藤氏の答弁は結局、従来やってきたことは正しかったという開き直りだ」と指摘。「口では独立性、自立性を言うが、アメリカや財務省への追従しか感じられない」とのべました。

国民の痛み感じていない

参院議運委 仁比議員が感想

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(写真)記者会見する仁比聡平参院議員=11日、国会内

 十一日の参院議運委にオブザーバー出席した日本共産党の仁比聡平議員は、同日会見し、感想を述べました。

 仁比氏は、総裁候補の武藤敏郎氏が小泉内閣の「構造改革」路線について、「長く続いた不況から抜け出すことが最大の課題であるなかで、成果をあげ、緩やかだが順調な経済の改革につながった。民間の努力と、それを改革が支えた結果だ」と発言したことを紹介。

 「まるで、小泉元首相や竹中平蔵氏の答弁を聞いているようだった。格差社会や国民が感じている痛みについての認識や視野が全く感じられない」と述べました。

 仁比氏はまた、国債買い入れ問題で武藤氏が「不良債権処理のために当時検討した結果であり、効果を発揮しなかったのは別な問題」などと答えたことを指摘。金融経済問題では「あらゆるものが金融商品化されている実態を当然視している感じをうけた。投機マネーの暴走についてどう考えるのか、といった議論はなかった」と語りました。


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