2008年3月9日(日)「しんぶん赤旗」
冤罪事件 なぜ続発
法律家ら集会 司法のあり方考える
重大な冤罪(えんざい)事件が続発するなか、その原因を探り、司法のあり方を考えようと八日、法律家と市民の集会が都内で開かれ、百人を超える参加者が熱心に議論しました。
日本民主法律家協会の主催。中田直人理事長は「冤罪事件が繰り返されながら、その根が絶たれない問題点を深く掘り下げ、民主的な立場から刑事裁判のあり方をただす一歩としたい」と訴えました。
被告全員の無罪が確定した鹿児島・志布志事件について、取材にあたった朝日新聞鹿児島総局長の梶山天氏が報告し、事件をでっちあげた警察の捜査の実態を告発して、「第三者による検証を行い、真実を明らかにしなければ、再発防止などあり得ない」と強調しました。
痴漢冤罪事件にたずさわっている鳥海準弁護士は、冤罪の立証が困難な現状を明らかにしました。
元裁判官で弁護士の秋山賢三氏、東北大学名誉教授の小田中聰樹氏らによるシンポジウムでは、違法な捜査を抑止する効果が期待されている取り調べの全過程の「可視化」の問題、国民が裁判に参加する裁判員制度の実施が冤罪や誤判を増やす結果とならないために何が必要かについて語り合いました。「捜査権力に人権を守らせる民主的な監視が必要」(秋山氏)と、違法な捜査をただす国民的な取り組みが呼びかけられました。