2008年2月28日(木)「しんぶん赤旗」

防衛相ら航海長を聴取

捜査前に対応協議 「海保に無断」認める


 海上自衛隊のイージス艦「あたご」が漁船「清徳丸」に衝突した事故で、防衛省が海上保安庁に無断で事故発生後にあたごの航海長をヘリコプターで東京・市谷の同省に呼び事情聴取したさい、大臣室で石破茂防衛相のほか、増田好平防衛事務次官、斎藤隆自衛隊統合幕僚長、吉川栄治海上自衛隊幕僚長ら最高幹部がそろっていたことがわかりました。捜査開始より先に、事故当事者と防衛省・自衛隊トップが極秘に会合していた事実は、事情聴取にとどまらず事故の真相を隠ぺいする対応協議だったのではないかという疑惑を深めるものです。

 航海長が同省にいた当時、現場では、仲間の僚船なども多数参加して行方不明の吉清治夫さん(58)、哲大さん(23)親子の懸命の捜索が続いていました。人命救助より、事情聴取を優先させた軍事優先体質も明らかになりました。

 同省は、事故から約六時間後の十九日午前十時ごろ航海長をヘリで呼び、石破氏を含む同省首脳が約一時間、事故状況を直接聴きました。航海長は、あたごが清徳丸に衝突した十九日午前四時七分の直前の午前四時まで当直の士官でした。防衛省が清徳丸を視認したと発表している同午前三時五十五分は艦橋で操船を指揮していました。

 この事情聴取は、捜査を担当する海上保安庁に無断で行われており、石破防衛相は二十七日午前の衆院予算委員会分科会でこの事実を認め、「適切ではなかった」とのべました。

 海上保安庁は、業務上過失往来妨害容疑で、あたごに対する強制捜査の方針を固めていましたが、「人命救助を最優先させたい」と、あたごが横須賀基地に戻るまで待ち、同日午後五時五十分から艦内の捜索を開始しました。



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