2008年2月21日(木)「しんぶん赤旗」

続消費税なぜなぜ問答

社会保障の財源を考える(16)

Q 「軍事利権」とはどんなもの?


 守屋武昌前防衛事務次官の逮捕で、軍需産業と防衛省の間の醜い利権の存在が明らかになりました。その実態は、どのようなものでしょう。

 守屋容疑者がかかわった、装備にかかわる利権疑惑は、陸海空のすべてに及んでいます。まず、次期輸送機(CX)のエンジン購入に関して、代理店である商社を通すことについて「口利き」をした疑惑です。

 イージス艦などの護衛を任務とする次世代護衛艦(DD)のエンジンをめぐって、調達先をどこにするかで、関係のある商社への便宜をはかった疑惑も浮上しています。生物兵器の探索を行う生物偵察車については、同容疑者と関係の深かった商社「山田洋行」の子会社による水増し請求問題も報じられました。

 同容疑者の利権は、武器の購入だけではありません。同容疑者が事務次官として推進してきた米軍再編では、グアム移転だけでも一・二兆円もの資金が動きます。住宅一戸あたり八千万円などという米軍の「言い値」をうのみにした計画であり、参入した企業にとって「甘い汁」が期待できることから、多くの企業が群がってきています。

 重大なことは、こうした利権体質が、守屋容疑者一人の問題ではないということです。「防衛省の装備品契約件数の七割、金額の九割は随意契約」(二〇〇七年十一月二十九日、吉井英勝衆院議員)、「九〇年以降に発覚したものだけで、水増し請求が十六社、一千百四十四億円」(〇七年十二月十三日、井上哲士参院議員)など、日本共産党の国会議員の質問で、癒着の構造が次々に明らかになってきています。

 随意契約の中には、「防衛庁長官の指示」を理由としたものが、六年間で五千八百二十六億円も含まれていました(吉井質問)。問題は、防衛省の官僚だけでなく、大臣、与党政治家にも及んでいます。

 こうした利権の構造を支えているのは、軍需企業による自民党などへの政治献金と、防衛省からの天下りの受け入れです。「しんぶん赤旗」の調査では、防衛省からの契約額の多い企業は軒並み、自民党への献金額も、天下りの数も多いことが判明しました(表参照)。その後に防衛省自身が公表した軍需産業への天下り数の調査結果(〇七年十一月二十九日)でも、同様の結果が見られます。商業紙でも「天下り数に契約額がほぼ比例している」(「毎日」)と指摘されています。

 米軍いいなり、「日本の防衛」とは無縁の装備や基地整備に巨額の税金が投入され、それが利権の巣窟(そうくつ)になっている―この軍事費をこれ以上「聖域」にしておくことは、絶対に許されません。抜本的にメスを入れれば、大幅な削減が可能です。社会保障のための財源も、相当な規模で確保できます。(つづく)

表


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