2008年2月19日(火)「しんぶん赤旗」

主張

原子力空母配備

横須賀市民が判断することだ


 神奈川県横須賀市で、米軍横須賀基地への原子力空母配備の是非を問う住民投票条例の制定を求め、二度目の署名運動が始まっています。

 昨年二月、法定数の約六倍の四万人が署名したにもかかわらず、横須賀市議会は条例制定請求を否決しました。「原子力空母母港化の是非を問う住民投票を成功させる会」は住民投票を実現させるため、今回は六万人の署名を集める計画です。横須賀市民と首都圏に住む三千万人を核事故の危険にさらし、原子力艦船の日本への恒常的寄港に道を開く原子力空母の配備は拒否するしかありません。住民投票条例請求運動を成功させることが何としても必要です。

投票条例制定が必要

 アメリカ政府はことし八月に原子力推進空母「ジョージ・ワシントン」(九七、〇〇〇トン)を横須賀基地に配備することを公表しています。アメリカの原子力艦船はなんども核事故をおこしており、日米両政府がふりまく「安全神話」を信じるわけにはいきません。

 兄弟空母の「ニミッツ」も「ステニス」も第一次冷却水漏出や原子炉緊急停止にいたる重大事故をおこしています。一年の半分を横須賀港に停泊すれば危険がつよまるのは当然です。しかも、原子力空母の配備は、横須賀を世界各地に“殴りこむ”本拠地にすることを意味します。安全と平和を求める横須賀市民が反対するのは当然です。

 とくに許せないのは、日本政府と横須賀市長が市民の意思を無視して、勝手に配備を決めたことです。政府であれ市長であれ、核事故の脅威から市民を守るのが務めであって、危険にさらすなど本末転倒です。

 原子力空母の配備の是非を問う住民投票条例を制定し、市民自ら決めようとするのは、憲法の地方自治の原則にもとづく正当な権利です。憲法が明示する地方自治は住民自治が基本です。市長や市議会には住民自治を守る義務があります。前回のような住民の意思をふみにじる態度をとるのではなく、市民が懸命にとりくんでいる住民投票条例制定請求運動の結果を尊重すべきです。

 今回の署名運動は、とりわけ重要です。横須賀港の管理者である蒲谷亮一横須賀市長は、二〇〇五年八月に、十二号バースの延長工事を許可するさい、原子力空母が使用する場合は、再度港湾法にもとづく協議を求めるという条件を政府に求め、政府も同意しています。

 港湾法は国の直轄事業について「国と港湾管理者の協議」を条件にしています(五二条)。原子力空母の配備の段階で、市長は再協議を国に求め、国も協議に応じなければなりません。住民投票で原子力空母配備反対の意思をつきつけることができれば、配備決定をくつがえす決定的な力になります。

被爆国民の当然の選択

 アメリカ政府は、一九六四年に日本に原潜を寄港させて以来、原子力艦船寄港をくりかえすことで日本国民への「核慣らし」を進めてきました。今回の原子力空母の配備は、核兵器積載艦船の寄港と母港化への連鎖の一環です。

 日本国民は世界で唯一、原爆と放射能の恐ろしさを体験した国民です。核兵器であれ原子力推進艦船であれ、受け入れを拒否するのは当たり前です。

 原子力空母配備の是非を問う住民投票条例制定請求運動は全国的な意義をもっています。署名集めは三月六日から一カ月間です。前回を大きく上回る署名実現に、全国からも大きな支援が求められています。



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