2008年2月18日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

スキー振興へ奮闘中


 スキー人口の伸び悩みもあって、各地のスキー場は一部を除き苦闘しています。このなかで住民や愛好者、競技団体などと共同して振興をはかる粘り強い取り組みや、スキー愛好者のすそ野を広げたいと奮闘している各地の姿を紹介します。


長野・栄村

雇用と子の夢かなえて

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 和太鼓がとどろき、ラッセラ・ラッセラの掛け声に合わせて、保育園児たちがはちきれんばかりに「荒馬踊り」を披露します。学生たちも鉦(かね)や笛、太鼓を打ち鳴らして「阿波踊り」を熱演。学生、園児、村民が一つになって踊りの輪が広がります。村営の「さかえ倶楽部(くらぶ)スキー場」レストハウスは歓喜に包まれました。

東京から園児ら

 踊りの後は、雪上花火と「どんど焼き」の火入れです。参加者が互いの無病息災を願って顔に墨を塗り合い、保育園児と学生、村民との交流は熱い余韻を残して終演しました。

 二月八日から十一日までの四日間、栄村(さかえむら)村営スキー場で実施された「雪体験交流プログラム」の一コマです。今回参加したのは東京の東大駒場地区保育所の園児十六人、京都精華大学の学生三十三人。村民も五十人余がスタッフなどとして尽力しました。

 毎年三メートル近くの積雪がある豪雪の地、長野県栄村のスキー場がオープンしたのは、一九九六年十二月。スキー人口の減少に加え、越後湯沢や野沢温泉などの大型スキー場に囲まれる環境にあります。それでも「雪を村の活性化につなげよう」という若者の長年の思いが実って実現にこぎつけました。

 冬期間は出稼ぎが主流でしたが、スキー場の開設で「地元で安心して働ける」と職員は口をそろえます。

 子どもたちは日常的にスキーができる環境が整い、体力づくりやスキー技術の向上にもつながって、全国レベルの大会に出場できる子どもが増えています。

交流プログラム

 スキー場の村山俊郎係長は「コンパクトなスキー場なので、一人一人のお客さんの顔が見え、応えられるのが一番の強みです。リピーターのお客さんも多く、大切にしています」といいます。

 近年は東京都の小金井市、武蔵村山市、神奈川県川崎市などの自治体スキー大会や、全国規模の少年スキー大会、全国勤労者スキー協議会の「スーパーGカップ」大会なども開かれ、競技スキーのコースとしての評価も年々上がっています。先の「雪体験交流プログラム」もこうした努力の一環です。

 スキー人口の減少、さらに村の財政的負担も重いものがありますが、小さな村のスキー場は、雇用の確保と子どもたちの夢を膨らませるために挑戦を続けています。(日本共産党 栄村村議 鈴木敏彦)


北海道・釧路

体験満載「冬の学校」

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 雪の少ない釧路(くしろ)では学校の授業でスケートをします。スキーの方は最近、授業に取り入れる学校もありますが、二十三年前には子どもを対象にしたスキー教室はありませんでした。

今年で24回目に

 一九八二年に北海道勤労者スキー協議会(スキー協)が誕生したのをきっかけに、翌年、釧路でもスキー協参加のクラブが誕生しました。クラブで指導員が十五人ほどになった一九八五年、この地方にもスキー愛好者を増やそうと、子どもを中心にしたスキー学校「冬の学校」の取り組みを始めました。

 初回は四日間、日帰りで、総勢八十一人の参加で実施されました。二十四回目となった今年は一月中旬、阿寒湖畔スキー場、阿寒湖畔温泉ホテルを会場に二泊三日の日程でおこなわれました。小学生から中学生まで総勢百二十七人、指導員、看護師など三十九人が参加しました。

 スキー学校でなく、なぜ「冬の学校」か。それはスキーを教えるだけでなく宿泊先での生活も大切にするということです。

 子どもたちの部屋は学年が異なる四人から五人で構成し、上の子が下の子の面倒をみます。各家庭では味わえない体験をします。また、各部屋にスキー指導者を配置して子どもたちの生活を手助けします。

 夕食後は「文化の集い」などの催しがあり、大きな声でみんなで歌ったりします。今年は星の観察もとり入れ、子どもたちは冬空に輝く星に感動していました。

障害者の教室も

 私たちは「冬の学校」のほか、ナイタースキー教室、地元小学校のスキー少年団の指導、障害者スキー教室、近隣の小中学校のスキー指導など、愛好者の普及に力を入れています。

 こうした事業を長く続けることができたのは、指導員を育てることに力をそそぐなど「スキー協釧路連絡会」の努力です。近年、スキー人口は減少し、地元のスキー場やホテルの経営は大変です。働く人、子どもたちがスキーを楽しめるよう、また地元のスキー場振興のために今後も共存共栄で努力していきたいと思っています。(工藤 勝雄 北海道スキー協釧路連絡会事務局担当)


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