2008年2月18日(月)「しんぶん赤旗」

児童扶養手当

「就業意欲」証明を要求

厚労省が方針 母親から不安の声


 三月末時点で、児童扶養手当を受給して五年以上になる母子家庭(約二十六万世帯)のもとに、今月「児童扶養手当の受給に関する重要なお知らせ」が市区町村から届き始めます。

 厚生労働省の方針にもとづき、「就業意欲」や「就業が困難な事情」を証明する書類の提出を求めるものです。「手続きを行わなければ、四月から手当が半分になる可能性もある」という記述もあり、母親たちからは「あれこれ書類を求められ、疑われているみたい」と不安の声も出されています。

 児童扶養手当は、二〇〇二年の法改悪で、末子が三歳になってから五年以上手当を受給している場合、〇八年四月から最大半減されることになっていました。しかし、昨年十一月、世論と運動の広がりを受け、政府・与党は削減対象を「母子の障害や病気など就業が困難な事情がないにもかかわらず、就業意欲がみられない者」に限定。厚労省は「就業意欲のない母親はほとんどいない」と述べ、手当削減は事実上の「凍結」と説明していました。

 しかし、今回の「お知らせ」は、「就業意欲がみられない人」を“割り出す”内容となっています。手当受給者に(1)就業中(2)求職活動中(3)身体または精神の障害がある(4)けがや病気で就業が困難(5)子や親族の介護で就業が困難―のいずれかを証明できる書類の提出を要求。提出できない場合は市町村の窓口に相談に来るよう求めています。

 就業中の人は雇用証明書や給与明細書、健康保険証のコピーなどを提出。自営業の場合は自営業従事申告書などを出すよう例示しています。

 求職活動中の人に対しては、ハローワークや母子家庭等就業・自立支援センターなどに相談に行っている場合は、その窓口で発行される証明書の提出を求めます。求人情報誌などを使って求職活動をしている場合は、実際に面接を受けた会社に「採用選考証明書」を発行してもらうことも要求しています。

 障害者の場合は障害者手帳のコピーなど。けがや病気のため就業が困難な場合は、かかりつけ医の診断書などが必要です。診断書には数千円の費用がかかり、母子家庭にとっては少なくない負担を強いるものです。


 児童扶養手当 年収三百六十五万円未満の母子家庭に、子どもが十八歳に達した年度末まで支給。所得に応じ、子ども一人世帯で月額九千八百五十―四万一千七百二十円。受給者数は約九十五万六千人(昨年三月末時点)。


手続きの簡素化を

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 高橋千鶴子衆院議員の話 大きな不安を抱えながら生活している母子家庭に対して、煩雑な手続きや金銭的負担を強いるやり方は問題です。手続きの簡素化や内容の改善が求められます。

 母子家庭のお母さんたちは、多くが不安定雇用です。職場では立場が弱く、「雇用証明書をください」とすら言いにくい。雇用主にあれこれ言わなくてもいいようにする配慮が求められます。

 細切れ契約で、書類を出さなければならない時期にちょうど契約が切れているかもしれません。厚労省は、これまでの就業実績からみれば「就業意欲あり」と判断できるとしています。また、就業状況については自己申告書でもよいとしていますので、自治体の窓口が柔軟に対応するように、徹底すべきです。

 また、自身のけがや病気の場合、わざわざ診断書をとらなければならないのか。通院の際の領収書でも可とするなどの改善が必要だと思います。

 私のところには、「窓口で人権侵害が起こらないような対策を国会の場で求めてほしい」など、切実な声が寄せられています。本来、受給できる方の権利を制限するためではないことを明確にさせ、窓口でもその立場で対応してほしい。私も改善のため全力を尽くすとともに、「五年たったら支給額を半減」という大本の法改悪の撤回を求めていきたいと思います。


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