2008年2月17日(日)「しんぶん赤旗」
米産トウモロコシ輸入17倍
自由貿易協定見直せ
メキシコ 農民が行動
【メキシコ市=松島良尚】メキシコでは今年からすべての農産物の貿易が自由化され、とくにトウモロコシでは、一月の米国ものの輸入が、昨年同月比で約十七倍に急増しました。米国、メキシコ、カナダ三カ国の北米自由貿易協定(NAFTA)によるものです。
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農民らは一月三十一日にメキシコ市で十三万人がデモをするなど、各地で抗議行動を展開。NAFTAの農業条項を見直す再交渉などを要求しています。
「米産トウモロコシ輸入十七倍」は、メキシコの中小農家を組織している全国農業生産取引業連合(ANEC)が今月十一日、政府資料にもとづいて発表した一月輸入量で明らかになりました。
それによると、主に飼料となる黄トウモロコシの一月の輸入は、昨年同月の二十倍近い七十五万一千トン。粉をクレープ状に焼く主食トルティーヤの原料となる白トウモロコシは、五倍近い四万九千トンでした。両方あわせ八十万トン、十六・七倍になります。米国の業者は年末から国境付近で出荷準備を整え、「関税なし」となる一月一日を待っていたといわれます。
ANECのスアレス事務局長は、白トウモロコシを貯蔵している国内生産者が輸入急増の影響をただちに受け、安価な米国産の圧力を受けて安値で買いたたかれると指摘しました。
スアレス氏は、メキシコで自給できる食用の白トウモロコシについて、輸出入を管理する仕組みを大統領令で確立するよう要求しました。
一九九四年発効のNAFTAのもと、安価な米国産農産物の流入は、昨年まで一定の輸入規制があったとはいえ、メキシコ農業に大きな打撃になってきました。完全自由化で状況はいっそう悪化するとみられます。