2008年2月11日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

家庭ごみ処理

減量化 住民、行政 共同で


 家庭系ごみ処理の有料化に対して、各地で「有料化の理由のひとつに『ごみの減量化』をあげているが、有料化の前に減量のため、やるべきことはある」など批判、怒りの声がひろがっています。青森市と山口県周南(しゅうなん)市からのリポートを紹介します。


青森市 

有料化「当面先送り」

地図

 青森市は、家庭系ごみ有料化のための条例を三月議会で議決し、来年十月から実施する方針を示していましたが、市民から反対意見が続出し、「当面先送り」に追い込まれました。

 佐々木誠造市長は昨年五月、「住みよいクリーンな青森市を考える審議会」に「家庭系ごみ処理費用のあり方」について諮問し、八月上旬までに答申するよう求めました。

 同審議会では、市の思惑とは異なり、「有料化反対」「有料化の前にやるべきことがある」などの意見が数多く出され、答申は十月にずれ込み、有料化については賛否両論併記となりました。

 市は、指定ごみ袋一枚につき四十五リットルの場合は七十五円の手数料を徴収するなどとした有料化実施方針(素案)をまとめ、昨年十二月に市内各所で「市民の意見を聴く会」を開きました。

 市民からは、反対の声が続出しました。「経済的負担が大きい状況では、有料化に反対」「市は減量化・資源化施策を進めるべきだ」「有料化してもごみは減らない」という鋭い指摘が、相次ぎました。

怒る町会役員

 ごみ収集場所の清掃やさまざまなごみをめぐるトラブルの処理などに、苦労している町会役員からは、「有料化するのであれば、町会はごみに一切かかわらない」という怒りの声も出るほどでした。

 市民の声をまとめた市の資料でも、意見の大半は反対・時期尚早という意見でした。

 市議会では日本共産党市議団が、「負担の公平」「有料化によるごみ減量」という市の言い分に根拠のないことを浮き彫りにする論戦を展開しました。

 大沢研市議は昨年九月議会で、有料化した当初はごみの量が減ったものの、数年たつとごみの量が増えた自治体の例も示して、「有料化によるごみ減量化」は期待できないと指摘しました。

 布施一夫市議は昨年十二月議会で、「有料化で、ごみの減量化・資源化の効果はどの程度を見込んでいるのか」と試算を示すことを求めました。

 植村和雄環境部長は、「指定ごみ袋の料金設定のみで、効果を測ることはむずかしい」と答弁するだけで、試算も示せませんでした。

市民負担増す

 布施市議は、「さまざまな負担が増え、市民が困っている時に、ごみ有料化はさらに負担をかけ、市民税非課税の人にも負担をかけるものだ」として、有料化中止を求めました。

 市は、中止するとは最後まで答弁せず、市議会は共産党や社民党、無所属の市議が提出したごみ有料化中止を求める決議を、自民党、新自民、市民クラブ、公明党の反対で否決してしまいました。

 それから一カ月後の一月二十一日、佐々木市長が記者会見で、来年十月実施を当面先送りすると表明し、植村環境部長も民生環境常任委員協議会で、「減量化・資源化を市民共同の取り組みとして進め、検証した上で判断する」と説明しました。

 しかし、「有料化」の方針はそのままであり、市民の声と運動が、ますます大事な局面を迎えています。(青森県 猪股文夫)


山口・周南市

シンポ開き考えました

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 山口県周南市は、昨年末から、年明けの一月下旬、二月下旬にかけて、「ごみ処理の有料化」についての住民説明会を行っています。

 これは、燃やせるごみと埋め立てごみの指定ごみ袋に、処理費用を上乗せ(四十五リットル袋一枚十円を五十円に)して手数料を徴収するという説明です。

党は保留要請

 住民のなかで、「税金を取った上に、さらに処理費を負担させるのか」「説明でいうような、ごみの減量効果があるとは思えない」などの怒りの声が広がっています。

 一月三十一日、日本共産党市議団(形岡あきら、中村富美子、藤井直子の三議員)は、島津幸男市長に「有料化の結論を保留し、市民と行政が一体となった減量化の取り組みを先行させること」という申し入れを行いました。

 申し入れでは、「(説明会は)まず、ごみ減量化の取り組みへの市民参加を求めるのではなく、有料化により、負担が嫌ならごみを出さないようにというものである。これは、減量化の責任を市民に負わせるものにほかならない。これでは、市民参加による、ごみ減量化という目的は達成できない」と指摘しました。

 周南市での「ごみ処理有料化の検討」は、二〇〇三年の合併で市発足直後から設置した、「ごみ対策推進審議会」で、ごみ処理有料化を一つの柱とする「ごみ処理基本計画」を検討してきました。

市民から反響

 日本共産党市議団は、市議会一般質問で「有料化による減量効果は一時的なもの」として、批判を行うと同時に、ごみ対策を市民と行政が共同して取り組む必要を強調、有料化については、その取り組みのあとで結論を出すべきだと主張してきました。さらに、〇六年には、有料化に反対の人も賛成の人もいっしょに考えようという趣旨で、ごみ問題のシンポジウムを行いました。

 今回の申し入れは、その上にたったものです。地元紙の報道があり、市民から、ごみ処理有料化反対の意見も文書で寄せられています。

 市の計画では、二月に住民への説明会を終え、三月末まで市民からの意見を募集、「要請があれば各自治会などに赴き、『出前講座』を行う」、四月から五月にかけてパブリックコメントを実施した上で十月からの有料実施をするとしています。

 日本共産党市議団は、改めて、広範な市民に訴え、有料化によらないごみ減量化の取り組みを実現するため、力を尽くしていくことにしています。(周南市議 形岡あきら)


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