2008年2月5日(火)「しんぶん赤旗」

米政府の温暖化対策

軍事費の88分の1

研究所が批判


 【ワシントン=鎌塚由美】米国のシンクタンク政策研究所(IPS)は一月三十一日、ブッシュ政権が軍事費にばく大な予算をつぎ込む一方、安全保障の一環となる温暖化対策にはわずかな予算しか充ててないことを指摘する報告書を公表しました。世界一の軍事費を使いながら、温暖化対策に消極的な同政権の姿勢を批判しています。

 報告書は、二〇〇八会計年度(〇七年十月―〇八年九月)の米国の軍事予算が六千四百七十五億一千万ドル(約六十八兆六千三百六十一億円)だったのに対し、温暖化対策は七十三億七千万ドル(約七千八百十二億円)だったことを紹介。これは「気候を安定化させるために一ドル充てるごとに、軍隊による安全保障確立に八十八ドル使われる」ことを意味していると強調しています。

 「対テロ戦争」のために軍事費が膨らんでいることを踏まえ、「テロリズムは深刻な問題であるが、われわれを取り囲んでいるものではない。一方、気候変動の影響は違う」と述べ、温暖化が安全保障に与える重大性を指摘しています。

 さらに「気候変動は地球規模の問題であり、国際協力なくしては解決できない」と強調。〇八会計年度の米国の対外軍事支援は九十五億ドルに上る一方、温暖化対策の技術支援は二億一千二百万ドルで、九十八対二の比率となっており、温暖化対策での国際的技術支援がわずかでしかないことに疑問を呈しています。

 しかも温暖化対策の技術支援は「その規模と同様、対象も疑わしい」と指摘。半分近くの予算が、石炭を燃料とする現存の火力発電所がもたらす被害を軽減することに費やされ、「環境に害がなく再生可能なエネルギー源への転換支援」に使われていないと批判しています。



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