2008年2月4日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPress

もう泣き寝いりしない

共産党のHP 仕事の悩み2000通


 「残業代がもらえない」「直前に仕事をキャンセルされた」。若者の仕事の悩みに弁護士、労働組合役員、国会議員などの専門家がメールで相談に応じる、日本共産党のホームページ(HP)「青年・若者ネット」。「若者に仕事を」のアンケートには3年間で約2000通の声が寄せられています。「人間らしく働き、生きたい」という悲痛な叫びの数々。HPがきっかけで元気を取り戻した若者たちの姿を紹介します。(菅野尚夫)


会社で泣いていた私に奇跡の光が差し込んだような

 派遣社員歴4年半になる杉山美穂さん=仮名=も「若者ネット」にアクセスして元気を取り戻した一人です。

 昨年10月、杉山さんがロックバンド「ミスターチルドレン」(ミスチル)の詞に心をひかれたことから、日本共産党のHPにたどり着きました。

 その詞に引用されている写真家のブログを見ていると…。

 「昨日、若者の労働環境をマニフェストに盛り込んでいる党が見当たらないと書いたが、複数名の方(党員ではないようだ)から共産党がこの問題を地道に取り上げているというメールが寄せられている。調べたところ事実であることが分かったので、訂正しておく」と書いてあったのです。

 杉山さんは、「派遣社員であることへの劣等感やいつ解雇されるのだろうかと不安」で、将来の展望も見えず、だれにも相談できずにいました。

 「それでも辞めたくない理由は、生涯続けたいと思えるくらい好きな仕事に出会えたから。だからこそ正社員として認めてもらいたい」と思っていた杉山さん。

 HPのアンケートに書きこみました。「この4年半、時給は変わらずボーナスもない。交通費が全額支給されない。偽装請負ではないか。何度泣いて悔しい思いをのみ込んできたことか」

 そのメールに、HPの担当者が親身になって相談に乗ってくれました。「会社で何かあれば、いつでも遠慮なく相談してくださいね。応援していますよ」と。

 担当者とのメールでの交流が始まりました。

 さらに、HP担当者は、杉山さんの住む地域の党組織の人たちを紹介してくれました。地域の人に会うと、派遣社員をモノ扱いする経営者の発言などをじっくり聞いてくれました。若者が立ち上がって解雇を撤回させたり、偽装請負をやめさせて正社員化を勝ち取った例なども語ってくれ、励ましてくれました。

 杉山さんにとって予想外の展開でした。その時の感動を「何かが変わった気がします。この出逢いを大切にしていきたい」と記しています。

 日本民主青年同盟の若者も一緒になって悩みを共有してくれました。

 杉山さんは「ちょっと大げさないい方かもしれないけど、会社のトイレで泣いていた私に奇跡とも、運命ともいえる光が差し込んだような気がした」とふりかえります。

題名は「哀訴嘆願」上司のパワハラ謝罪させたくて

 関西地方の派遣社員、田中芳夫さん(28)=仮名=は昨年11月、派遣先上司からの人権侵害に悩み、党のHPにメールを送りました。

 メールの題は「哀訴嘆願」。日本共産党あてに書き送るにいたった動機について、「私個人では解決困難で、このままでは泣き寝入りせざるを得ないと考えたからです」と記しました。

 田中さんは、派遣先の職場で「お前何してん!」「こんなアホ連れてくるなよ!」と、上司から威圧的な態度で怒鳴り散らされ、言葉の暴力に遭っていました。「パソコンへのデータ入力が遅いと言って、やくざのような口調で脅されたこともあった」といいます。

 なんとか、派遣先上司のパワハラを謝罪させたい、企業にも再発防止を検討させることはできないか、相談したのです。

 党のHP担当者は、田中さんの地元党組織に連絡しました。田中さんは党や民青同盟の懇談会に参加するなど、解決への模索を始めています。

本になりました

 HPに寄せられた声から本ができました。『仕事の悩み 解決しよう』(新日本出版社)です。

 若者の悩みに耳を傾け、解決策を示してきた、林萬太郎さん(大阪府立高等学校教職員組合副委員長)、笹山尚人さん(弁護士)、中田進さん(関西勤労者教育協会講師)、平井哲史さん(弁護士)の4人が、相談メールの中から典型例を選び、個別のアドバイスを書き下ろしたのです。

 25歳の女性の「私の会社では、残業は当たり前。残業代は出ません。有給休暇もとれません。時給に換算すると300円程度」という相談には、「確信犯的に残業代を払おうとしない悪質な事業者には、刑事罰が下されるようになっています。いざというときのために労働組合に入っておくこともよいでしょう」とアドバイスしています。

 30歳の女性は「フルタイムのパートで働き、月収は手取り12万円程度。親の介護や、返済の残っている奨学金のことなどを考えると暗い気持ちになり、自殺したほうがいいのではと思うようにさえなった」と相談。

 回答者は「本当に胸が痛みます。厳しい現状と希望のない未来のために自殺まで考えるような社会は異常です。メールを見ても、あなたは一生懸命に働き、まっとうに生きているのですから、あなたが悪いわけではありません。私たち相談員も、あなたのような若者の力になりたいと思います」と励ましています。

 本を読んだ杉山さんは言います。「『死ぬしかないのでしょうか』『ホームレスになるしかないのでしょうか』。そんな言葉に、悲しくもどかしい気持ちがこみ上げ涙があふれてきました。その一件一件に対するアドバイスを見て、必ず打開策があることに改めて気づかされます。一人でも多くの方に希望を見いだしてほしいと、強く強く願います」

親身に相談にのりたい

日本共産党衆院議員

高橋 千鶴子さん

 本になって改めて読むと、日本共産党のHPを命綱として注目している若者がたくさんいることを実感します。青年はもちろんですが、全国の党地方議員や党支部のみなさんにもぜひ読んでほしい本です。

 HPの相談員になって2年以上になりますが、若者たちの暮らす現場は深刻さを増すばかりです。生きるか死ぬかの切羽詰まった声がたくさん寄せられます。一刻を争う事例は、日本共産党ならではのネットワークで解決に当たっています。

 こんごも若者たちの目線に立って、緊急に手を差しのべなければならない手だてと、立ち上がって社会変革を図りながら獲得する課題とを見分けながら、親身に相談に乗るよう心がけたいと思います。


お悩みHunter

東京から地方に転勤 人間関係が希薄で…

  東京本社から、地方支社に転勤になりました。会社の同僚以外に知り合いもほとんどおらず、孤独を感じるときがあります。同僚とも表面的なつきあいで、人間関係に物足りなさを感じています。(25歳会社員、男性、茨城県)

あなたに人間味を感じます

  ネット社会の現代は、リアルな人づきあいを避け、メールやネット上のバーチャルなつきあいを好む若者が増えていると聞きます。そんななか、リアルな人づきあいを求めているあなたにとても人間味を感じました。

 環境が変わり新たな場所へ入っていったとき、すぐにはなじめないかもしれません。「この人はどういうひとなのか」「ここではどうやってふるまっていいのか」などを考えて、自分を出すことを遠慮してしまい、どうしても表面的なつきあいになりがちです。

 でも接していくなかで、少しずつ自分を出してお互いを理解していくのだと思います。なかには話してみたらすごく気の合う同僚もいるかもしれません。いまよりもちょっと積極的に同僚とかかわってみたらどうでしょうか。

 私も隠れキャラ満載の人間ですが、慣れない人にはなかなか自分を出すことができません。でもお互いがわかってくると急に親しくなったりします。

 そしてもうひとつ、ひとりの時間が多いときは何か自分の好きなことや趣味などを見つけて、それに没頭してみてはどうでしょうか。自分と向き合う時間もあなたを魅力ある人間にしてくれると思います。またそのことを通じて新しい仲間と出会うことがあるかもしれません。

 気の合いそうな仲間を気長に待っていてください。


第41代日本ウエルター級チャンピオン 小林 秀一さん

 東京工業大学卒。家業の豆腐屋を継ぎながらボクシングでプロデビュー。99年新人王。03年第41代日本ウエルター級チャンピオン。


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