2008年2月2日(土)「しんぶん赤旗」

「公権力による人権の侵害」とは?


 〈問い〉 日本共産党綱領に「公権力による人権の侵害」と書かれているところが、よくわかりません。何を指すのか、教えてください。(大阪・一読者)

 〈答え〉 「公権力による人権の侵害」の全体をこの欄で説明するのは困難ですので、ここでは、いくつかの事例を紹介することで回答とします。

 国民の記憶に新しい志布志事件では、警察が鹿児島県議選の際の「選挙買収」を捏造(ねつぞう)して、13人が公選法違反で起訴されました。被疑者とされた人々は、長い人で1年以上の長期にわたって勾留され、長時間の強圧的な取り調べと脅しによって虚偽の自白を強要されました。判決は、「自白の成立過程で、自白した被告人らの主張するような追及的・強圧的な取り調べがあった」と認定しています。

 このような違法な捜査をおこなった警察官に対する刑事裁判が、現在、福岡地方裁判所でおこなわれています。この裁判では、起訴した立場の検事が被告人の警官をかばっているばかりか、逆に被害者の方を犯人扱いして「お前を偽証罪で逮捕する」などと脅迫する発言までしています。

 90年代前半のオウム真理教事件も、警察の人権抑圧体質を示すものでした。被害者の救済のために活動していた坂本弁護士が拉致されたとき、現場にオウムとの関係を示す物証が残されていたにもかかわらず、警察は、自由法曹団員だった坂本弁護士を真剣に救出しませんでした。また、長野県松本市でおきたサリン事件の捜査でも、まったく関係のない会社員を犯人と決め付けて、長時間にわたる脅迫的な取り調べをおこなっています。

 日本共産党への監視や干渉も重大です。1986年には、緒方靖夫国際部長(当時)の自宅の電話が、神奈川県警の警察官らに盗聴されていたことが発覚。1988年には、日本共産党本部前のマンションの一室に公安調査庁職員がビデオカメラを設置して、党本部に出入りする人を監視していたことが発覚しました。これらはプライバシーの侵害であると同時に、結社の自由を踏みにじるものです。

 「しんぶん赤旗」号外のポストへの配布を弾圧した堀越事件の裁判では、警察が、日本共産党をねらいうちにして、尾行、ビデオの隠し撮りなどの違法捜査をおこなっていたことも明らかになっています。

 昨年6月には、自衛隊の情報保全隊が、国民の活動を系統的に監視し記録していたことが明らかになりました。

 武力集団である自衛隊が、政府や自衛隊に批判的な市民や政党の活動を監視しているということは、戦前の「憲兵政治」復活にもつながる重大問題です。(石)

 〔2008・2・2(土)〕


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