2008年2月1日(金)「しんぶん赤旗」

ヒューレットパッカード元社員

退職後自殺に労災認定

労働保険審


 日本ヒューレットパッカード社(小出伸一社長)の元社員の男性の自殺について、厚生労働省の労働保険審査会は三十日、新宿労働基準監督署の労災保険不支給処分を取り消し、労災と認定する決定を出しました。

 同社は、コンピューターやシステムの開発・製造・輸入・販売などを行っている外資系の大手企業です。自殺した男性元社員=当時(31)=は一九九五年四月入社後、九八年七月に二十七歳でPHS(簡易型携帯電話)によるEメール送受信サービス開発のプロジェクト・マネジャーになりましたが、九―十一月まで連続して月百時間を超える時間外労働に従事するなかで、十月ごろから精神疾患を発症。二〇〇一年十二月末に退職し、翌〇二年七月に自殺しました。

 男性の父親(67)が同年八月、業務上の災害だとして新宿労基署に労災保険の給付を請求しましたが、同署は業務外だとして不支給としました。

 労働保険審査会は、限られた人員のなかでの開発プロジェクトが「強度の心理的負荷となった」として、深夜に及ぶ恒常的な長時間労働に従事したことを踏まえると「業務による心理的負荷は精神障害を発症させる危険のある強度のもの」と認定しました。

 父親の代理人の尾林芳匡弁護士は三十一日、都内で記者会見し、「世界的IT企業の巨大プロジェクトへの従事が若者に強度の負荷を与えたことが正当に評価された。発症から三年八カ月後、退職から六カ月後の自殺を労災と認めたことは、今後の労災認定の拡大につながる画期的な決定だ」と語りました。


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